私は「忍者猫」 元は捨て猫、伊賀の里で大変身
三重県伊賀市中心部の老舗店で、メスの「忍者猫」が活躍している。真っ白の体に赤いずきんをかぶって「くノ一」に変身し、お客さんに親しまれている。元々は捨て猫で、今春にはきょうだいだったオス猫が事故死した。そんな苦しみにもめげず、愛くるしい顔で店の招き猫になっている。
■「まるで猫カフェ」
猫の名前は「茶々」。年齢は2歳半。伊賀市上野小玉町にある伊賀茶の老舗「むらい萬香園」で飼われている。店には喫茶コーナーのほか、忍者の武器や道具の展示、手裏剣打ちを体験できる道場もあり、忍者文化を発信する人気スポットの一つとなっている。
そんな店の看板である茶々は客のリクエストなどに応じて赤い忍者装束とおもちゃの刀を身にまとい、記念撮影にも応じる。カメラ目線を絶やさず、「プロ意識」も高いという。
黙って見たり、ツーショットを撮ったり、お客さんの反応は様々だ。店主の村井元治さん(63)は「まるで猫カフェのような状態。うれしそうに『今日は来たかいがあった』と言って下さる方もいます。茶々はどんなしぐさをしても、いとおしいです」とほほ笑む。
■忍者装束 貸し出しも
村井さんは2000年ごろから、観光客に忍者装束を貸す取り組みもしている。以前、23年間飼っていたメス猫の「みーちゃん」にも忍者衣装を着せていたが、3年半前に天寿を全うした。寂しくなった村井さんは2年半前、猫の里親探しの団体を通じて、捨て猫だった茶々とオス猫「利休」を譲り受けた。
利休は人なつっこく、茶々はマイペース。犬用の忍者装束を着せた2匹は、店の看板になった。今年初め、全国ネットのテレビ番組で取り上げられてからは、毎日のように忍者猫目当ての客が来るようになった。中には、外国人観光客も。
しかし、今年3月、村井さんが目を離している間に、利休が事故死した。村井さんは「私も家族を亡くしたような喪失感があったし、茶々も寂しそうな顔をしていた」と振り返る。
それでも茶々は、いつもけなげに忍者猫の務めを果たしている。村井さんは「茶々には利休君の分まで頑張ってほしいし、機嫌良く長生きしてくれることを願っています」と話す。
(広部憲太郎)
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