うさぎの夏バテ対策 熱中症に注意必要
第11回は、うさぎの夏バテ対策についてです。梅雨は湿度が高く、真夏は外気温が30度を超え、うさぎが最も体調を崩しやすい季節なのです。今回はうさぎがどうして夏が苦手なのか、体調不良の見極め方、飼育環境の管理方法についてご紹介します。(うさぎと暮らす編集部)
うさぎの体
近年、日本の夏は最高気温が39度を観測する日もあり、猛暑に見舞われています。細い毛におおわれたうさぎにとって一番危険なのは、太陽光が当たる部屋に、窓を閉め切り、エアコンをつけない状態で過ごすことです。
もともと野生のうさぎは土の上で暮らし、夏は穴を掘ってその中、あるいは日陰で過ごします。つまり気温に応じて自分の居場所を変えながら、体温のコントロールをしています。しかしながらおうちで暮らすペットは、ケージの中やテリトリーが決められているのでそれができません。
人は皮膚に汗腺があり、発汗することで体温調節を行いますが、うさぎの体には汗腺がほとんどなく、体温調節が苦手です。体温は人より高く、約38度くらいです。
うさぎの耳は小さな音でも聞き分けられるだけでなく、ここから放熱して体温調節する役割を持っています(ただし耳が短い品種や垂れ耳の品種は、耳からの放熱がしづらい)。また、うさぎが手足をだらりと伸ばしているのも体温調節の一つとされています。ですから手足を伸ばすことができない狭いケージや、ケージ内で何匹かで生活させることも避けてほしいです。
飼い主さんは、かわいい愛兎に真夏を健康で過ごしてもらうために、梅雨時の湿度が高い時期から残暑が厳しい9月までエアコンを使用して、室温をうさぎの快適温度20~23度、湿度は45~60%に管理することが必須なのです(ただし寒がりなうさぎ、うっ滞などの病中病後、妊娠中、子うさぎはこの設定が適さない場合がある)。
熱中症の恐ろしさ
最近、閉め切った車内に置いていかれたペットが、エアコンが止まってしまっていて、熱中症で亡くなったというニュースを聞くことがあります。飼い主さんは確かにエアコンをつけていったのかもしれないですし、何かトラブルが起きてエアコンが止まった可能性もあるでしょう。しかし、この何げない行為によってペットの命が左右されてしまうのです。
うさぎの場合では、熱中症にかかると、けいれんやショック状態を起こし、最悪の場合は急性腎不全、脳障害など全身の多臓器不全で死に至る場合があります。夏に車で移動する際(動物病院への通院やふるさとへの帰省など)に、車中に誰もいなくなってうさぎだけを置き去りにすることは絶対に避けましょう。
では、うさぎが熱中症にかかっている場合に見られる症状とかかりやすいうさぎをご紹介します。
チェックリスト
●熱中症に見られる症状
☐体温が高い
☐心拍数が多い
☐呼吸が荒い
☐ぐったりとして動かない
☐尿が少ない
●熱中症にかかりやすいうさぎ
☐免疫力の低い高齢や子どものうさぎ
☐心臓病、肺疾患などで闘病中・病後のうさぎ
☐妊娠中のうさぎ
☐暑さになれていないうさぎ
☐肥満気味のうさぎ
☐長毛種のうさぎ
☐過密飼育のうさぎ
熱中症防止対策1 いつもと違うことに気づく
飼い主さんが日頃から「うさぎの健康な状態」を知っておくことが必要ですが、病院に連れて行くかどうかの判断基準の一つとして、「好物を見せても喜ばない」というポイントが上げられます。半日以上そのような状態が続く場合は「正常ではない」「これは変だ」と、飼い主さん自身が気づいてあげましょう。そして、すぐに動物病院に行き、診察を受けることが大切です。
これはうさぎとのコミュニケーション経験による「飼い主さんの感性」なのです。熱中症の症状を発症している場合、すぐにでも病院へ行くこと。熱中症は慢性病と違い、それほど症状が急変しやすく、リスクが高い病気です。
夏バテ防止対策2 ケージのポジション
ケージのある部屋を再点検しましょう。東側、北側が適し、南西の部屋は危険です。午後からの強い日差しと西日が当たるためです。
南西向きでも小窓を開ければ、風が入ってくると勘違いしてはいけません。無風状態では蒸し風呂になります。冬の間は、南西が暖かいからとケージを置いていたという方も、夏は涼しい場所にケージの位置を移動させてあげてください。
夏バテ防止対策3 梅雨時も気を抜かず
意外と盲点なのが、梅雨時。雨が降っていて一時的に気温が下がるので、エアコンをつけないという方もいるのでは。危険なのは6月ごろの「梅雨の合間の晴れ間」です。雨がやみ、急激に温度が上がり、エアコンの付けていない部屋で体調を崩すうさぎは少なくありません。外気温度に惑わされず、エアコンを使うことを徹底しましょう。
症状が見られたら 病院へ行くまでの救急処置
熱中症が疑われ、虚脱状態に陥っている場合ならば、ただちに体の冷却を行います。手元に水や氷などがあれば、タオルに挟んで体を包んで下さい。外出先ならばコンビニなどで手に入れられるでしょう。
移動中の車ではエアコンは必ず使用してください。車中ではエアコンを向けて、毛の中に風をあててあげることで、毛が密なうさぎでも、皮膚から熱を奪う効果は多少とも期待できるでしょう。かごの底に氷を包んだタオル、あるいは氷のう剤を入れ、キャリーの底に敷いてあげます。食欲があるようだったら、生野菜を与えてあげましょう。
病院へ行くまで車で移動中のキャリー対策
☐全身を冷たいタオルで冷やす
☐風通しのよい場所へ移動
☐体全体を冷たいタオルで冷やす
☐水を飲ませる
☐冷風をあてる
☐意識があり水分が取れる場合は、ハイポトニック飲料(電解質の水分=常備しておく)などを与える
※一部、うさぎと暮らすNo.44「夏バテうさぎを徹底ブロック」より引用
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