ペット用品を熊本の被災地へ 秋田のペット店経営女性
災害が起きた時、犬や猫など被災地で暮らすペットの状況は伝わりにくい。熊本地震に素早く対応したのが、潟上市でドッグショップ「まろん」を営む長谷川智美さん(36)だ。4月の本震があった数日後と5月上旬の計2度、知人に声をかけて集めたペット用品を現地に送った。
テレビで熊本地震を知り、インターネットでペットが置かれている状況についての情報を調べたが見つからない。数日後、熊本市で自主的にペットを収容、世話している動物病院の存在を知り、すぐに電話した。「けがをしている犬や猫が多いことが分かりました」
ただ、不足しているのはえさや薬ではなかった。「人もトイレで水が流せない状況だったので、とてもペットの排泄(はいせつ)に使える水はないと。水を使わずに処理できるものが必要でした」
物資として選んだのが、段ボール4箱分の古新聞とタオル約1千枚。えさ入れとして使えるように、陶器やステンレス製の皿も入れた。第2弾では、ペットの首輪につける迷子札や、ジャーキーなどのお菓子類を段ボール2箱分。現地の要望を聞き、救援物資がだぶつくのを避けた。
長谷川さんが今回素早く対応したのは、5年前の経験があったからだ。
東日本大震災では、流通の拠点だった仙台市の交通がまひした。秋田にもペット用品が届かなくなり、管理していた犬に与えるえさの確保さえ危うくなった。3週間後に日本海側のルートを押さえて乗り切り、今度は支援する側に。被災地で「えさが足りない」という事情を知り、動物救助活動団体などに数回、ドッグフードを送った。
「被災したらどれだけ困るのかということが分かっていた。私たちは普段、動物に癒やされている。だから5年前も今回も『やろう』と提案しました」。送る物資は、店のスタッフや知人、お客さんなどに声をかけて集めた。
動物の救助を考えることも大切だが、長谷川さんはもっと大切なことがあるという。10日、ラジオ番組に出演して訴えた。「いつか来るかもしれない災害に対して、人間はもちろん、飼っている動物も命を守れるように日頃から備えてほしい」
(山田佳毅)
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