ペットと被災 「一緒に避難」が大原則 東京で「考える」展
大災害が起きた時、あなたはペットをどうしますか?ーー「同行避難」は行政も推奨する避難方法にもかかわらず、現実には熊本地震でも問題が起きている。具体的なペット連れ避難をシミュレーションしながら、ペットと防災について考える企画展「いっしょに逃げてもいいのかな?展」が、22日まで東京・三軒茶屋で開かれている。
展示で最も目を引くのが、「もしも、災害が起こったら(災害発生からの3日間)」と題した壁一面のチャートだ。「自宅で一緒に被災」「外出時に一緒に被災」「外出時に別々に被災」の三つのパターンごとに、時系列で何が起き、どう対応すべきかを解説している。監修は、ペット同行避難について啓発・支援活動をしているNPO法人アナイスの平井潤子代表だ。
例えば、職場など自分だけ外にいて被災した場合で見てみよう。帰宅できて再会できれば、避難所に同行避難できる。帰宅できない時でも2日目までにはペットの安否を確認したい。平時からモニター付きカメラを設置し、自宅不在時のペットの様子が分かるようにしてあれば安心だ。だがそんな備えがない場合、また帰宅したのにペットが逃げていなくなっていて探す必要がある時なども、頼れるのは友人知人、ペット仲間たちだ。
基本は、どこで被災しようと、ペットと再会できたら一緒に過ごすのが最終形だ。自宅が安全なら一緒に自宅待機、自宅が危険なら避難所へ同行避難する。ただし、避難所がペット不可だった場合は、①友人・知人宅にペットを預ける②車やテントを活用して一緒に生活する③ペットを自宅に残して人は避難所、という三つの選択肢がある。②でエコノミークラス症候群にかかる被災者が実際に多い中、①や③もやむを得ない選択だろう。
主催した「せたがや文化財団 生活工房」の竹田由美プロデューサーは「逃げ遅れたペットが野生化する問題を防ぐ意味でも同行避難が望ましい。しかし、飼っていない人は考え方も異なり、同行避難に不安を感じる飼い主も少なくない。社会的なレベルでペットと防災を考えるきっかけになれば」と話す。
また、ペット防災アイテムのアイデアや模型を、クリエーター5組に提案してもらった。分解して折りたためるペット用のハウスや、大型犬を避難させる物流システムの模型など、「災害時だけでなく、普段使いできるようなもの」(竹田さん)だ。設計事務所imaの小林恭さん・マナさんは、リュック型キャリーバッグ「GRAMP(グランプ)」を出展した。動物病院への通院時など普段から使えるバッグで、ケージの床部分にはトイレシートを敷くことができる。ポリエステル100%で重さは3120グラム。すでに市販もしているという。
「人間と同じように、ペットも急な環境の変化にはストレスを感じる。これらをヒントに、来場者にも『自分ならどうやってペットと避難したいか』を楽しく考えてみてほしい」とも、竹田さんは話す。
会場ではほかに、疑似避難所を再現したコーナーや避難用品一式も展示している。来場者の意見を張り出す一角もあり、「熊本地震を受け、ペットの防災に不安を感じていた」(世田谷区内の50代女性)、「ペット連れ避難は避難先で迷惑をかけてしまうと不安を抱いていたが、この企画で意識が変わった」(東京都日野市の50代女性)といった感想が寄せられていた。
(田代くるみ)
会期:5月22日まで(会期中無休)
開場時間:9:00~20:00
入場料:無料
会場:生活工房ギャラリー(東京都世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー3階)
問い合わせ:03-5432-1543(生活工房)
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