ペットの遺骨・遺灰をペンダントに「 なでていとおしんで」
先立たれた親や子、ペットを日常の暮らしの中で弔う「手元供養」が広がっている。遺骨をペンダントに入れて身につけたり、遺灰を混ぜた焼き物の花瓶に花を生けて飾ったり。最愛の存在に思いをはせる形も様々に変化している。
大阪・梅田で墓石販売を手がける「メモリアルアートの大野屋」(本社・東京)の関西支社。店内のガラスケースにネックレスや指輪、香水瓶のようなおしゃれな置物が飾られている。一見、宝飾店の商品と同じに見えるが、どれも内部に小さな遺骨を収める空間があるのが特徴だ。ネックレスでは、ペンダントトップの裏側を付属品の専用ネジで開閉して遺骨を収める。
ネックレスや指輪は2011年に「ソウルジュエリーシリーズ」として発売した。昨年の販売実績は約1万5千個と5年で2・5倍に。購入者は30~70代と幅広く、「故人と離れたくない、いつも身近に感じていたい」という気持ちの人が多いという。
インターネットで定額制葬祭プラン「小さなお葬式」を販売する「ユニクエスト・オンライン」(大阪市北区)の「海洋散骨プラン」では、遺灰をすべて海にまかず、一部を手元に残しておきたいという「手元供養」の希望者が全体の約3割いるという。
このため同社は、遺灰を収めるペンダントや小さな骨つぼを販売している。13年に始めた海洋散骨の利用者の増加とともに販売数も増え、これまで計200個近くを販売した。
福岡県直方市の陶芸家、友枝観水さん(70)が考案したのは、遺灰を混ぜて焼いた花瓶。「転生陶」と名づけ3年前に発売し、これまで十数個が売れた。持ち込んでもらった遺灰を釉薬(ゆうやく)に混ぜて焼くと、遺灰の細かな粒子が焼き物の表面に透けて見える。
「遺灰に手を加えることに反感を覚える人もいるが、毎日水をかえ、花を生け、最愛の人やペットの存在そのものを感じ、なで、いとおしんで使ってもらっています」と友枝さん。
NPO手元供養協会(本部・京都市)の尾形邦明理事は「少子化や核家族化が進み、互いの絆が強く、最愛の存在を失った喪失感が大きくなっている。死後も存在を身近に感じることで心の穴を埋め、勇気をもらう。癒やしの一つの形として手元供養は定着しつつある」と話している。
(村上英樹)
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