野良猫への餌やり規制条例成立 和歌山県、最高5万円の過料
野良猫の増えすぎを防ぐため、餌やりを規制する条例案が、17日、和歌山県議会で可決した。ルールを無視して餌を与えた場合、勧告・命令を受けても改善しなければ、5万円以下の過料が科される内容だ。和歌山県によると、罰則がある条例は京都市や東京都荒川区などで先行例があるが、都道府県では初めてという。
県提出の条例案は、県動物愛護管理条例を改正し、野良猫に繰り返し餌をやる場合に守るべきルールを、不妊去勢手術がされている▽排せつ物を処理する▽周辺の住民に説明して理解を得る――などとした。
県によると、県内で猫の排せつ物や鳴き声などへの苦情や相談が2006年度の129件から14年度には212件に増えた。猫の殺処分数は14年度は2568匹で、人口10万人あたりの数が10年度から4年連続で都道府県ワースト4位。県は野良猫の繁殖を抑え、殺処分を減らしたい考えだ。
県は昨年8月、飼い猫以外への餌やりを原則禁止する案を発表。しかし県内外から900件以上の意見が寄せられ、「野良猫を餓死させるのか」「(和歌山電鉄の三毛猫の)たま駅長が死んだ途端、恩をあだで返すのか」などの反対が多かった。そのため衰弱した猫への餌やりを認めるなどの修正をへて、今年の2月議会に提案。施行は17年4月1日の予定で、約1年間を周知期間にあてる。
(滝沢文那)
県内外から多くのパブリックコメントが集まるなどの議論を呼んだ、野良猫への餌やりを規制する県動物愛護管理条例の改正案は、採決前に雑賀光夫県議(共産)が反対討論した。「県民同意を得られない問題で、罰則の新設・強化を急がなければならないのか。継続審査として、引き続き県民も含めた議論が必要」と述べた。採決では自民・公明の議員らの賛成多数で可決された。
当初案では地域猫として餌やりする場合には届け出義務があった。しかし、「負担が大きく逆効果だ」などの意見があり、届け出は任意になった。知事から実施計画の認定を受ければ、不妊去勢手術費用などで支援を受けられる。
施行は来年4月1日だが、地域猫対策は先行して2016年度から始まる。県は、16年度予算に猫対策として1510万円を計上している。
(杢田光、滝沢文那)
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