「ひっそり猫好き」住職のいる浄願寺

取材を終え帰ろうとすると、玄関先まで出てきてくれた「黒豆」。「ゴン太はどこにいったの」と聞くと目を細めていた=石川県白山市
取材を終え帰ろうとすると、玄関先まで出てきてくれた「黒豆」。「ゴン太はどこにいったの」と聞くと目を細めていた=石川県白山市

 猫が集まる有名スポットと言えば、福井県越前市の「猫寺(ねこでら)」こと御誕生寺(ごたんじょうじ)が知られる。石川県内にはないのかな?と思っていたら、白山市美川南町の浄願寺住職、藤塚曼(まん)さん(58)が教えてくれた。

 

「猫好きなお寺はたくさんあるけれど、『猫の寺』と名乗っちゃうと必ず猫を捨てに来る人が出る。だからみんなひっそりと猫好きなんです」。なるほど。猫を捨てるのは犯罪です。猫好きとしては猫の終生の幸せを考えたいもの。
 

 そんな人にぴったりのイベント「にゃんにゃん猫まつり」が21、22日、浄願寺で初めて開かれた。「猫」にまつわる10以上の出店が並ぶ。

 

「今まで10匹くらいは飼って来ました。猫は身勝手でいい加減で、犬ほど真面目じゃない。でも、自堕落な自分にはそれがいい。健康管理はしつつも、お寺に自由に出入りさせて、その様子をながめてきました」と藤塚さん。
 

 育てた猫は、もとは野良猫や捨て猫。猫を飼った人なら誰でも経験する「洗礼」も受けてきた。家中の障子がボロボロになったり、座布団におしっこされたり。猫には上質なものの上に座りたがる習性があるが、藤塚さんが仕事で使う袈裟(けさ)の上で寝ておしっこをかけた猫もおり、クリーニングと修復で5万円かかったとか。
 

 しかし、同時にいろいろなことを教えられたという。30年前に拾って飼っていた白猫の「タマ」は、秋になると必ず本堂の障子に穴を開けた。紙を破らなくても障子を開けられる猫なのに、不思議だった。
 

 数年後、「ああ、わざと悪さをして、こちらがどれだけ怒るか試しているんだな」とわかった。怒らないで放っておくと、すぐ破るのをやめたという。完全な「ペット」ではない猫たちは、さまざまな方法で人間との関係を推しはかると学んだ。
 

 今、浄願寺にはオスのキジトラ「黒豆」がいる。妻の有紀さん(56)が抱いて連れてきてくれた黒豆は、でぷっと丸くて貫禄十分。近所で兄弟とともに飼われていたが、浄願寺に「引っ越し」してきた。狩りが得意で、ハトやコウモリをよく持って帰る。土用の丑(うし)の日にヘビの頭を持ち帰ったことまで。
 

いなくなってしまった「ゴン太」=白山市、藤塚曼さん提供
いなくなってしまった「ゴン太」=白山市、藤塚曼さん提供

 実は最近までもう1匹いた。去年の秋から寺に出入りしていた白黒ブチの「ゴン太」。しかし、年末に大けがをし、1月の大雪の日から姿を消したのだという。

 

「猫は家を自分で選ぶし、最期もいろいろ。ほかの猫とけんかしていなくなったり、病気で死んだり。猫にもいろんなそれぞれの生き方があるんだなと、しみじみ思います」と藤塚さん。

 

 

歴代の猫の写真を手にする住職の藤塚曼さん(左)と妻の有紀さん=白山市
歴代の猫の写真を手にする住職の藤塚曼さん(左)と妻の有紀さん=白山市

 そんな藤塚さんの猫への思いを知り、前に紹介した「牛乳猫(ぎゅうにゅうねこ)&きまぐれKitchen」(能美市)の谷来実子(きみこ)さん(43)が「にゃんにゃん猫まつり」の開催を呼びかけたという。

 

(比名祥子)

朝日新聞
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