動物の不審死発見 まず写真、警察に通報を

 このところ、東京都内や千葉県西部などの首都圏、さらには神戸市内の住宅街において、猫やうさぎ、鳥など小動物の惨殺事件が起きているというニュースが連日のように報道されています。

 このコラムの第6回でもお伝えしたのですが、動物虐待は人に対する凶悪犯罪の前兆と言われています。この種の研究はアメリカやイギリスで早くから進んでおり、日本でも対人暴力と動物虐待の関連性を調査した論文が2007年に発表されています。

 人命にかかわる事件が起きてからでは取り返しがつきません。既に起きてしまった事件も数多くありますが、同様の悲劇が繰り返されることがないよう、警察をはじめとする行政関係者や教育関係者、そして地域住民が、地域の安全のことを真剣に考え、早期に対応策を打ち出していく必要があるでしょう。

 さて、こうした動物の不審死を発見した場合、皆さんはどのような行動を取るでしょうか?

 ●気になりながらも何もできず立ち去る

 ●駆け寄って毛布でくるみ丁重に葬る

 ●役所に電話して片づけてもらう

 それぞれの価値観やそのときの状況があるでしょうから、これが正しい、これは間違い、というつもりはありません。ただ、動物虐待事件をなくしたいという強い思いがある人には、再発防止の観点から、冷静で適切な行動を取っていただきたいと思います。

 動物(正確には「愛護動物」)をみだりに殺すことは、誰かの所有物であるか否かにかかわらず、犯罪です。動物の変死体は、犯罪の可能性がある事件の重要な証拠であり、そのままの状態で警察に現場を確認してもらい、犯罪捜査のきっかけにしてもらう必要があります。具体的には、次のような手順が考えられます。

①まず、発見した時点での事件現場の状況を写真や動画で証拠に残すようにしましょう。これは、警察が到着するまでに現場の状況が変わってしまった場合や、警察が来てくれなかった場合の証拠とするためです。その際は、現場の位置、周辺状況、動物の死体の状況、傷の部位や程度などを意識して撮影してください。

②次に最寄りの交番に出向くか、警察署に通報して、担当部署(生活安全課)の警察官に事件現場に来てもらうよう説明しましょう。その際、できる限り感情的にならず、状況説明に努めるのがコツです。警察官とケンカするのはNGです。

③警察官が現場に来たら、改めて見つけたときの状況を発見者自身が説明するとともに、質問されたことに答えることになります。また、警察官にも写真を撮影してもらう必要があります。

④そして警察官に対し、動物愛護法第44条1項にある「動物殺傷罪」で事件を捜査するよう要請します。動物愛護法をよく知らない警察官もまれにいるので、そのような場合は、パンフレットなどを使いながら丁寧に説明しましょう。

⑤警察にはもう一つ、現場周辺に事件の発生を知らせる看板を設置して注意喚起と情報提供を促すよう、また、周辺地域の自治会に回覧板をまわすよう、お願いすることも忘れずに。

⑥事案によっては、刑事訴訟法に基づく告発手続きを行うことも検討します。法律上、刑事告発は「誰でも」できるものの、証拠資料の整理や文書での説明、警察官との協議が必要になることから、専門家に相談することが望ましいですね。

 一定の時間や労力を割くことにはなりますが、これだけやってようやく、犯人逮捕や再発防止に向けた効果的な活動が始まります。犠牲になる動物、そして人を増やさないためにも、ぜひこれらのことを念頭に置いておくようにしていただければと思います。

2001年弁護士登録(兵庫県弁護士会)。民事・家事事件全般を取り扱いながら、ペットに関する事件や動物虐待事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。ペットの法と政策研究会代表、ペット法学会会員。

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