名取裕子さんの名言 「犬は自分のかがみ」

 青山学院大学の同級生であり、芸能界を代表する〝犬のプロ〟名取裕子さんとスポーツ紙の対談で久々に会ったときのこと。一緒にいた1時間ほどの間で、「さすが、犬と言えばナトリと言われた人ね」と思うことが何度あったでしょうか。

「保護犬なの? よくいたわね、ミニピンが」

 と驚く名取さんに、ハンターが保護されて我が家に来るまでの経緯を話していたところ、

「そっか、そっか、そうなのね」

 とハンターと会話を始める名取さん。

「そうなの、おうち、帰りたいの」

「あ、その顔はチッチ(おしっこ)ね。じゃあ、シートをここに」

 と私が持参したトイレシートを二つに折り畳み、壁と床に直角に置いてくれたり……。

「ママのお仕事、もうすぐ終わるわよ~」

「一緒に記念写真、撮りましょう」

 などと、私ではなく(!)ハンターと〝対談〟してくれる名取さんなのでした(笑)。

 あぁ、この人は本当に犬に慣れている。もしかしたら、犬語がちゃんと話せているのかもしれない……とも思いました。

 ピンが平均よりも早く旅立ったことについては、「どんな犬にも寿命があるからね」とキッパリ。ピンが11歳4カ月で旅立ってしまったことでは、どこかで自分を責めていた私でしたが、名取さんがそう言ってくれたことで、少し救われたような気がしました。

 私が会話の途中で、「バカ犬が」と口走ると、「よく、そういうふうに言う人がいるけど、犬は自分のかがみだからね」とまたキッパリ言う名取さん。さらには、「犬はなんでもわかってるよね。私が厚化粧していれば、長時間、出かけるって、ちゃんとわかってるもん」と。

 確かに、ココやハンターも同じです。ノーメイクにサンダル履きなら、ゴミ出しとか近所のコンビニだから、すぐに帰ってくる……とわかっている。私がシャワーを浴びたり、それこそ、きっちりメイクをしたりして出かける用意をしていると、ココもハンターも急にソワソワし始めて、「行かないで」というアピールをしてくるのです。

 そんなふうに、お見通しの犬たちですから、「飼い主のかがみ」であることも十分、理解できます。

 バカは治らなくても(苦笑)、いつも明るく元気に犬に接していこうと、改めて決意したしだいです。

 

山田美保子
1957年生まれ。青山学院大学卒業後、ラジオレポーターを経て、放送作家、コラムニストなどを務める。『踊る!さんま御殿!!』の構成や、『サンデージャポン』『ドデスカ!+』などのコメンテーターを務める。ほかに雑誌、新聞、WEBに連載多数。

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この連載について
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