ペットとして唯一無二の存在・うさぎ
はじめまして。今回より参加させていただいた一年に4回発行している雑誌「うさぎと暮らす」と申します。
今年で創刊14年目となる、うさぎと一緒に暮らしている、あるいはこれからうさぎと暮らしてみたいという方々に、ご愛読いただいている雑誌です。
このページでこれから「うさぎ」をよく知らない方にも読んでいただきたいので、うさぎについて、さまざまな情報を発信していけたらと考えております。
うさぎの面白く、楽しい最新情報はもちろん、うさぎをよく診ている獣医さんやうさぎ専門店の方の取材記事など、いろいろと取り上げていきたいと考えております。
以後、末永くよろしくお願いいたします。
うさぎに対する思い込み
その名も「うさぎと暮らす編集部員」である私たちが、一般の方からよく聞かれるのが「うさぎってさみしいと死んじゃうんでしょう?」「水を飲ませてはいけないんでしょう?」「家の中で(臭いから)飼えないでしょう?」「なつかないでしょう」といった質問です。
まず、うさぎは体臭がなく、排泄物の始末(トイレのしつけ)や抜け毛のケアに気を付けてあげれば、住居内で一緒に暮らせるコンパニオンペットです。
性格はさまざまで一様に表することはできませんが、人懐こく甘えん坊のコもいれば、凛として人にこびない性格のコもいます。さみしくて死んだりすることはありませんが、どのようなタイプのうさぎでも一定の時間はケージから出し、飼い主さんにマッサージをしてもらったりご褒美をもらったり、うさぎが室内を走ったり、飛んだりして運動するコミュニケーションの時間が必要です。これによって双方の関係は深まります。
また、かつてうさぎは庭で飼育されることが一般的でしたが、昨今の日本の気候(特に夏冬)は、暑さ・寒さに弱いうさぎが屋外で過ごすには適していません。湿気も苦手です。室内にケージを置き、エアコンによる温度管理が必須です。特に水分摂取は必須で、ケージには必ず給水ボトルを付けます。
うさぎの食事に対しても誤解が多く、草食動物であるため、乾燥牧草のみ、あるいは野菜のみでよいなどという考え方をする方もおられますが、主食を乾燥牧草(チモシーの一番刈り)とし、副食としてペレット(ラビットフード)を体重に合わせた分量、与える形が推奨されています。
このように、うさぎはペットとして一緒に暮らしたことがない方には、あまり生態が知られていない動物です。それも仕方がないことなのか、うさぎを住居の中で育てるようになったのは、ここ15年くらいのことです。アメリカから純血種のうさぎが輸入されるようになり、国内でうさぎ専門店(うさぎのみをブリードしたり、販売しているショップ)によって、このようなスタイルが提示されることで広まりました。当時は今のようにうさぎに対する病気や生態に関しての情報が少なかったため、インターネットはうさぎの飼い主さんが病気や用品の情報を得ることが貴重な場だったそうです。
近年は、小誌の読者には、10歳を超えているうさぎも少なくなく、これにはうさぎを積極的に診察しようと生態を研究して、病気を治療してきた獣医さんの存在が大きく貢献しています。
このページをご覧いただいて、うさぎに興味を持たれた方は一度、全国にあるうさぎ専門店と名のつくところに足を運んでいただくと、うさぎに適した環境作りが分かり、前述したようなうさぎに対する思い込みはずいぶんと解消されると思います。
うさぎが見せるかわいすぎる行動
現在、うさぎはペットとして犬・猫に次ぐ、第三の動物と言われています。ペット不可のマンションで、ひそかにうさぎを飼育しているケースもあるので、実数はわかっていません。現代の住宅事情にマッチしていて、「なかない」「散歩がいらない」「小スペースで飼える」とされています(実際はうさぎに適度な運動と遊ぶスペースは必要です)。
うさぎはなかないので、犬、猫や鳥と比べて表現や表情に乏しいのではないかと思われるでしょう。しかし、怒ると鼻をブゥっと鳴らす、脚をダンと踏み鳴らす(スタッピング、あるいは足ダンと呼ぶ=仲間に危険を知らせる、怒っている気持ちの表れ)、顔を洗う(写真)、気持ちがいい時・体調が悪い時に歯ぎしりをする、ご機嫌な時、高速で走り出し、体をひねってジャンプすることもあります。脚を伸ばしてリラックスしたり、突然バタンと倒れ寝てしまううさぎもいます。先日取材したお宅のうさぎは、トイレに頭をもたれかけて、人間のように寝ていました。
なお、睡眠やリラックス状態から目覚めた時、うさぎが歯を丸出しにしてあくびをする表情は、何とも言えないユニークさとかわいらしさがあるので必見です。
他にもご飯のおねだりやがっつく姿、ナデナデを求めて甘える仕草、人をツンツンと突っつく仕草など、飼い主さんのハートをわしづかみにするツボは上げたら切りがありません…。
なお、このような行動は、飼い主さんに心を許し、リラックスしているからこそ見せる表現です。被捕食動物であるうさぎは、絶えず緊張感を持って過ごしているのですきを見せないため、また環境の変化を嫌う性質を持っているので、お家にお迎えして数週間はこのような行動が見られないかもしれません。うさぎが自分のことを好いてくれて、その場所を気に入っている現れなのですから、飼い主さんにとって喜びもひとしおというわけです。
ペットうさぎのルーツ
現在のペットうさぎは、ヨーロッパの「アナウサギ」が原種で、野うさぎとは異なります。ペットうさぎには、アナウサギの名残が行動として多々見られます。オスはテリトリー内におしっことウンチをまき散らしたり、あごの臭腺でにおいをつける、メスは穴を掘る(ホリホリ)、毛をむしって巣作りを始めるといった行動です。
うさぎはほとんど一年中、生殖活動が盛んで、だいたい生後4~6カ月で性成熟に達します。一定の性周期がなく、1~2日間の休止期と4~17日の交尾許容期(発情期)を繰り返す誘起排卵(交尾排卵)動物です。
成熟期を過ぎたオスのうさぎにぬいぐるみを動かして遊んであげると、興奮して発情行為を見せることがあります(オスが多いですが、まれにメスにも見られます)。一見、人と暮らす上では問題行動かもしれませんが、うさぎが本来持っている行動であることを理解してからお迎えすることが大切です。そして、トイレのしつけをしたり、ホリホリ代わりのものを置いてあげるなど、うさぎの性質に合わせた環境にしてあげることで愛情が深まっていくことでしょう。
どうでしょうか? 少しはうさぎの魅力が伝わったでしょうか?
次回はうさぎの品種やうさぎに適した環境づくりのハナシをしたいと思います。
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