ずさん管理、10年「放置」 東京・昭島のペット店
東京都昭島市のペットショップ「パピオン熱帯魚」が5月20日、東京都に「犬猫等販売業廃止届出書」を提出し、犬と猫の販売を取りやめた。このショップは10年以上も前から、ペットの管理状況を問題視されてきたが、都はこの問題を実質的に放置してきた。
今年に入ってパピオンの内情を確認した日本動物福祉協会(JAWS)調査員の町屋奈(ない)・獣医師は「ケガをしている猫が放置されていた。壁一面に置かれた水槽のために日中でも自然光が入らず、犬猫ともに爪は伸び放題。長期間、ネグレクト型の動物虐待が行われていたことは明らか」と話す。
都は今年4月、動物愛護法に基づいて1カ月間の業務停止命令をパピオンに出している。担当者は「昨年5月下旬から苦情が寄せられるようになったのが処分の端緒」とした。
しかし都は、ずっと以前から実態を把握していた。都に残っている記録では07~13年度に口頭指導を計26回行っているのに加え、文書指導も1回実施している。指導内容には、今回の業務停止命令の根拠となった、飼養施設の大きさや構造についても含まれていたという。
パピオンは12年度に動物取扱業の登録を更新しているが、その前年度に6度の口頭指導、12年度にも8度の口頭指導などが行われていた事実もある。それでも都は「登録基準に適合していたから登録を更新した」(原口直美・環境衛生事業推進担当課長)とする。
JAWSが今年、確認できた生後90日以上の犬8匹は、狂犬病予防注射が打たれておらず、畜犬登録もされていなかった。
これだけの問題業者がなぜ長く営業を続けてこられたのか。原口課長は「指導を行った都度、改善があったことは確かだ。良くなってもまた繰り返し悪くなっただけ。放置してきたわけではない」と主張する。
だがペット法学会副理事長の吉田真澄・弁護士は、動物愛護法がここ10年で2度も改正され、業者への規制強化が進んできたことを踏まえ、こう話す。
「適切なタイミングで対応をしてこなかった都の姿勢には、大きな問題があると言わざるをえない。行政の重い腰をあげさせやすくするためにも、施設の大きさなどについて具体的な数値規制を検討する必要がある」
(太田匡彦)
(朝日新聞 2015年5月30日掲載)
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