「保護動物のための動物病院」を目指して 医療機器の充実へ保護団体が支援募る

 

彩の猫のシェルターで過ごす猫

 保健所に収容された猫や野良猫、多頭飼育崩壊の現場にいる猫――。助けを必要とする動物たちを救いたいと、埼玉県で活動する動物保護団体が動物病院の運営に乗り出し、さらに多くの命を助けるために病院設備の充実を目指している。現在クラウドファンディングで支援を募っている331日(日)午後11:00まで。

動物病院を開設

 動物病院を運営するのは、埼玉県南部を中心に活動する一般社団法人「彩の猫」だ。保健所などの行政施設に収容された猫を引き出して心身をケアし、新しい家族を探す活動を続けている。2023年は166匹の猫を保護し、119匹を新しい家族のもとに送り出したという。

 彩の猫は、繁殖を抑えることで、つらい思いをする動物を減らしたいと20232月にクラウドファンディングで支援を募り、202310月不妊去勢専門の動物病院「さいアニマルクリニック」を開設した。これまで月1回程度開院して不妊・去勢手術を行ってきた。

「さいアニマルクリニック」の玄関

 4月からは一層の充実に乗り出す。獣医師が週5日常勤する体制となり、またこれまでの不妊・去勢手術に加えて、4月以降は診察や治療も行う。動物病院の中には、野良などの「飼い犬や飼い猫ではない動物」の診察に積極的でないところもある。家庭で飼われていない場合、健康状態が把握できておらず、もし感染力が強い病気にかかっている場合は感染が広がる恐れがぬぐいきれないなどの理由からだ。そこで彩の猫は、運営する「さいアニマルクリニック」では、4月からはそうした飼い犬や飼い猫以外の動物を積極的に受け入れて、不妊去勢手術はもちろん診察や治療を行う「動物愛護の動物病院」を目指す。彩の猫代表理事の堀口みゆきさんは、「動物を救わなくていい時代をつくるために、『動物愛護の病院』をつくりたい」と話す。

  

彩の猫のシェルターで過ごす猫

レントゲン機器購入へ支援募る

 さらに、保健所などの行政施設にいる猫にも目を向ける。行政施設に収容される猫は、ケガをしたり病気になったりして衰弱した状態で収容されるケースも少なくない。そうした動物たちを受け入れて、医療を提供したいと考えている。

 前回のクラウドファンディングで、血液検査機器や麻酔機器などの最低限の医療機器はそろえることができた。そこで今回、レントゲン機器の購入をしたいと支援を募っている。レントゲンがあれば、体の状態がより分かるようになり、適切な治療法を選択することが出来るため、治療時間を短縮することにもつながるという。

 

彩の猫のシェルターでのんびり過ごす

 さらにもう一つの目標を掲げる。それは猫の不妊去勢手術が行える設備を備えたバスを作ることだ。多頭飼育崩壊の現場では、保護する頭数が多く動物病院に連れて行くのも大変な労力がかかるが、その負担を軽減することができる。また、家の近くに動物病院がない地域へ出向いて手術を行うこともできる。

 クラウドファンディングの第一目標は600万円で、レントゲン機器を購入したりレントゲン室を作ったりするために使う。さらに第二目標としてバス購入のために980万円を目指す。

 支援はクラウドファンディングサイトで募っている。331日(日)午後11:00まで。

 

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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