ゴールデンレトリバー466匹が大集合! 5年に一度のイベントを訪ねて 

イベントにゴールデンレトリバーが大集合(c)small hope bay production

 ゴールデンレトリバーの一大イベントがあると知った、映画監督・作家の山田あかねさん。ご自身も3匹のゴールデンレトリバーと暮らしてきた愛犬家でもあります。そんな山田さんが、イベントを尋ねてスコットランドへ出向きました。

(末尾に写真特集があります)

愛らしくて魅力たっぷりなゴールデン

カナとミニ

 みなさま、ゴールデンレトリバーという犬種をご存じでしょうか。

 ゴールデン=黄金の被毛を持つ、人懐こくて賢い大型犬です。日本では一時ブームになったこともありましたが、私自身、カナ、ミニ、ナツと3匹のゴールデンレトリバー(以下、時々、ゴールデンと略)と暮らしてきました。私が犬と猫をテーマに映像作品を作ったり、本を書いたりするようになったのは、やつらゴールデンとの生活がきっかけでした。

 大型なので、ご飯はたくさん食べますし、もちろん出すモノもたくさん、毛もいっぱい落ちますから、何かと手間がかかります。毎日、たっぷりお散歩しないと、ストレスでクッションをボロボロにしたり、本をかみちぎったりします(どちらも経験済みです)。

 そんな世話のたいへんなゴールデンですが、ふわふわで金色の毛並み、丸くて真っ黒な瞳、豊かな表情という愛らしい見た目以上に、穏やかで賢く、いつでも寄り添ってくれる優しさがあり、どんなことがあってもこの犬のために生きていこうと思わせる魅力があります(いえ、どんな犬でもそうですよね)。

 そんな魅力たっぷりのゴールデンレトリバーの一大イベントがあると知って、ついに出かけて来ました。

ナツ

スコットランドに世界中のゴールデンが集合!

 ゴールデンレトリバーがこの世に誕生したのは、およそ150年前。イギリス北部のスコットランドで、ツイードマス卿という貴族がブリードしたのが始まりです。当時のお城が今も残り、この場所で、世界中からゴールデンが集まるイベントが5年に一度、開かれています。2018年の150周年には、261匹の犬が集まったそうで、今年は何匹集まるか、注目されていました。

 ゴールデンレトリバーの故郷、トミッチ村は、ロンドンから飛行機でインバネス空港まで飛び、そこから車でさらに2時間ほど走った、とても小さな村です。近くにネッシーで有名なネス湖がありますが、普段はそれほど観光客が訪れることもないひっそりとした村です。ところが、ゴールデンレトリバー祭りの期間はホテルが全然とれない状態。なんとか探して予約しました。

 開催されたのは7月10日(月)から14日(金)までの5日間です。初日のスケジュールを見ると「Good Citizen Award」=良い市民賞とあります。良い市民が表彰される? どんなイベントなんだろうと出かけてみると、ゴールデンとその飼い主が参加するしつけ教室が始まっていました。

Good Citizen Award

 10匹と10人の飼い主が訓練士さんのかけ声に合わせて、「座れ」をしたり、「待て」を体験しています。およそ1時間のしつけ教室で、終了するとよくできた犬には「Good Citizen Award」として賞状が渡されるんです。つまり、良い市民=ゴールデンレトリバーのことなんですね。犬を市民と考えるユーモアとペット(愛玩物)ではなく、市民としてその権利を認めているようで、さすが動物愛護先進国と感じました。

 他にも愛犬とダンスするイベントがあったり、アフタヌーンティーを楽しむ会があったり、盛りだくさん。広い芝生の会場はいつもたくさんのゴールデンとその飼い主であふれていて、とにかく楽しい。アメリカ、ドイツ、オーストラリアからの参加者もいて、国際色も豊か。どの飼い主も自分の犬が大好きで、「どうぞ触って」と言ってくれるのでいつでも、もふもふできて至福の時間でした。

アフタヌーンティー

400匹の大行進

 このイベントの目玉は2つあって、その1つが、自分の犬を連れて、村からかつてのお城、グシカンハウスまで歩く、というもの。言ってみれば、集団のお散歩です。出発は夜の10時。スコットランドはかなり北に位置するため、10時くらいまではかなり明るいんですね。集合場所には広大な駐車スペースが準備されて、スコットランド・ゴールデンレトリバークラブのボランティアがテキパキと仕切っていきます。

 飼い主たちの車も一見の価値ありでした。犬と旅するために改装されたキャンピングカーやステーションワゴンが並びます。ケージのなかでおとなしく待っているゴールデンたちの姿もかわいらしかったです。

犬と旅するために改装されたキャンピングカー

 さて、お散歩というより大行進の始まりです。先頭にはたいまつを持った少年が歩きます。3、4匹のゴールデンを飼っているひとも多く、狭い田舎道を大渋滞しながら、わさわさと進んでいきます。

 途中で用を足す犬もいますし、隣の犬と触れあう子もいるんですが、不思議とけんかは起こらず、とにかく飼い主たちはみんな笑顔です。ゴールデンレトリバーの故郷を自分の犬と歩く、というだけで大満足の様子。ディズニー映画で「101匹ワンちゃん大行進」というのがありますが、この時すでに参加している犬は400匹を超えていました。400匹の大行進です。

バグパイプ奏者

 30分ほど歩いて、グシカンハウスに到着。現地ではスコットランド伝統のバグパイプが出迎えます。キルトスカートをはいた奏者の演奏のなか、これまたスコットランド伝統のスコッチウイスキーとショートブレッドが配られます。ライトアップしたグシカンハウスの前で、スコッチ片手に歓談タイムです。代表のあいさつや歌もあり、深夜12時近くまで、イベントは続きました。「犬と歩く」というただそれだけなんですが、とにかく楽しくて、各地で笑い声が響いてました。

 もうひとつの目玉イベントは参加したゴールデンレトリバー全頭での記念撮影。466匹の集合写真は圧巻でした。この様子は次号でお伝えします。

山田あかね
テレビディレクター・映画監督・作家。2010年愛犬を亡くしたことをきっかけに、犬と猫の命をテーマにした作品を作り始める。主な作品は映画『犬に名前をつける日』、映画『犬部!』(脚本)、『ザ・ノンフィクション 花子と先生の18年』(フジテレビ)、著書『犬は愛情を食べて生きている』(光文社)など。飼い主のいない犬と猫へ医療費を支援する『ハナコプロジェクト』代表理事。元保護犬のハル、ナツと暮らす。

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