おしっこチェックキットを体験!
おしっこチェックキットを体験!

腎臓病の早期発見で長生きを 猫の「おしっこチェックキット」を体験

  自宅で猫の尿比重をチェックできるキットがあるのをご存じでしょうか? 青いビーズが入った小さな容器に猫のおしっこを入れ、ビーズが浮けばおしっこの比重は「良好~濃いめ」、ビーズが沈めば「薄め」。腎臓の機能が低下し血液中の老廃物をおしっことしてうまく排出できないと、尿比重が低くなり「薄め」を示すため、腎臓病の早期発見にも役立ちます。

 このチェックキットを実際に試した飼い主さんお二人に話をうかがいました。

猫の尿の色がいつもより薄い、なのに問題なし?

 10歳のくうちゃん、7歳のねるちゃんの2匹の猫と暮らすkuu−neruさん(インスタグラムアカウント @akuubichan)。くうちゃんは3歳のときに腎臓病が発覚しました。それもあり、kuu−neruさんは日頃から2匹のおしっこの量や色を注意深く観察し、ねるちゃんにも半年に1回、血液検査と尿検査をしていました。昨年、ねるちゃんに尿比重のチェックキットを試してみようと思った矢先、kuu−neruさんは異変に気づきました。

「体調を崩していたねるのおしっこの色が、いつもより薄くなっていました。腎臓が悪くなっているのではないかと疑い動物病院に連れて行ったのですが、その2カ月前にしていた血液検査では異常がなかったため、食あたりか水の飲みすぎだろうから、しばらく様子を見るように言われました。しかし、その後もおしっこの色は薄いままでした」

左がストリート出身のねるちゃん、右が保護施設出身のくうちゃん

自宅で尿比重を検査、腎臓の異変を確信

 これはおかしい――。そう感じたkuu−neruさんが、チェックキットを使ってねるちゃんのおしっこを調べると、容器のビーズは沈み尿比重は「薄め」を示しました。腎臓に異常があることを確信したkuu−neruさんは、その尿を持ってすぐに別の動物病院を受診しました。

「でも、そこでも前の病院と同じ理由で血液検査を断られてしまいました。2カ月前に血液検査をしたのなら、こんなに急に悪くなるはずはないと。おそらく膀胱炎だろうと炎症を止める薬を飲ませ、1週間ほど様子を見ました。でも、今回もおしっこの色は戻りませんでした。やっと血液検査をしてもらえたのは、最初の受診から2週間くらいたってからでした」

採ったおしっこの色は薄く、ビーズも沈んでしまった

結石を早期発見できた

 血液検査の結果、2カ月前には異常がなかった腎臓の状態はステージ2まで低下していることがわかりました。超音波検査で見つかった結石は、その後の治療で消えたものの、腎臓の機能が低下した原因はいろいろな検査を繰り返してもわからず、ねるちゃんは体調が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、今も治療を続けています。

「おしっこの色が薄くても、チェックキットで尿比重に問題がないとわかれば安心できたのかもしれませんが、そうではなかったので、腎臓が悪くなっていると確信できました。チェックキットの結果があったから、血液検査をして欲しいと獣医さんに強く主張することができたと思います」

自宅でのおしっこチェックが早期発見につながった

視覚的に尿比重がわかる!

左から2号くん、なみちゃん、まめちゃん、1号くん

 4匹の猫と暮らすソレイユさん(ツイッターアカウント @Oa1Un)がチェックキットで調べたのは、推定14歳の茶トラの2号くんのおしっこ。同じく茶トラの1号くんは、過去にストルバイトを発症したため2カ月に1度、尿検査をしていますが、2号くんはこれまで異常がなく、尿検査も年に1回だったことから、キットを試してみることにしたそうです。

「結果は『良好~濃いめ』です。これまで、尿検査の結果は数字で確認していましたが、ビーズの浮き沈みで視覚的にわかるのは画期的でした。せっかくなので、そのまま近くの動物病院に持って行き検査をしてもらったら、病院での検査結果も問題なしでした。両方の検査結果が一致したので、精度にも満足しています。自宅で行う検査は手軽にできないと意味がないと考えているのですが、キットは結果が一目瞭然でわかりやすいので、これからも定期的に使っていきたいです」

カラーチャートと比較しておしっこの色を確認。ビーズの位置で、尿比重も一目でわかる

自宅でのおしっこチェックが大切なワケ

 多くの猫がかかえる腎臓病ですが、早期に発見し投薬や食事療法に結びつければ、元気に長く生きることができます。そのためには、定期的に尿検査を行い、おしっこの色や量など、ふだんの状態を知っておくことがとても大切です。簡易的であっても自宅で検査を行うことができれば、病院嫌いの猫へのストレスも大きく減らせます。

油科真弓
信州の山里で動物が身近にいる環境に育つ。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライター兼編集者に。雑誌や書籍、企業広報誌、ネットなどで編集・執筆を行う。猫と着物が好き。20年以上を共にした猫3匹を看取り、現在は保護猫3匹と生活中。人慣れいまいちの2匹を抱っこすることが、今の夢。

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