獣医師のツイッターに共感の声 「猫のおもちゃ誤飲にご用心!」

「これと、コレに類似する商品販売中止にしてくれないかなぁ…って思ってる獣医師は多い…」ある獣医師の、率直なつぶやきがSNSで話題を呼んでいます。

みんなが誤飲で危険だと思っている身近な『おもちゃ』

 よく見かける、ネズミの形をした猫用おもちゃの画像とともに、ツイートをしたのはアイエス動物病院院長の東一平先生です。その真意は『誤飲事故』への警告。

 この短い書き込みは7000回以上リツイート(引用)され、コメントも100件以上。なんと1万件以上の「いいね!」がついたのです(6月3日現在)

 そのコメントを見ると、

>(販売中止にしてほしいという)理由は剥がれた部品の誤飲とかでしょうか?
>飲み込める部分は羽のところですか?それとも本体?

など、具体的に知りたい!という声のほか、中には

>うちの子、釣り糸で小腸が糸でズタズタになってギャザーのように拠れて大手術となりました…涙
>これうちの子食べようとしたのでその場ですぐに回収して捨てました
という体験談も!

 具体的にどこがどう怖いのか。誤飲すると何が起きるのか。飼い主はどんなことに気を付けたらいいのか、東先生に聞きました。

猫と遊んであげることは大切ですが、誤飲は本当に怖いんです。
猫と遊んであげることは大切ですが、誤飲は本当に怖いんです。

まさかこんなものを丸のみに?誤飲が怖い理由

「ツイッターのコメントにもあったとおり、ヒモや硬い物の誤飲で内臓が傷つくことはよくあります。『釣り糸で小腸がズタズタ』は大げさな話じゃないんです」と東先生。

 先生によれば、このおもちゃにかぎらず、誤飲が恐ろしいのは、4つのポイントがあります。

①胃の中に長期間残留する場合がある

 誤飲したもの(おなかの中で消化できないもの)はそのまま胃の中に残ります。ものによっては数週間から数カ月にわたって胃にとどまることも!

「胃の中にあるうちは比較的症状が出にくいんです(電池など、溶けだして危険なものを除く)。大きくて消化されないから、その先へ行かない。それが何かのはずみに小腸に入り込んだ時、激しい症状が表れます。逆に言えば、それまで気づかれないまま『食欲が落ちてきたかな?』程度でやりすごされてしまうんです」

②その後の症状に「運・不運」がある

・何を飲み込んだのか
・おなかの中でどこまで進んだのか
・すんなり吐き出せそうか
・あるいはお尻から出てくるか

 それによって症状も予後も全く違うといいます。

「例えばネズミのおもちゃの場合、目や鼻の部分は小さなプラスチックパーツでできていることが多い。小さいので、そのまま流れて便に出てきてくれる可能性もあります。しかし、運悪く内臓の蠕動(ぜんどう。消化のために内臓が動くこと)によって腸壁に押し付けられると、腸を傷つけたり、最悪の場合、穴が開くこともあります」

 実際、レントゲンや超音波の検査で腸が傷ついていると予想して開腹手術してみたら、なんと腸管に穴が開き、腹膜炎を起こしておなかの中がうみだらけだった、という症例も!

③この大きさでも丸ごと飲み込めてしまう

「誤飲の危険性を感じている飼い主さんでも『外皮やパーツが取れて飲み込むんでしょ?』と思っている人が多い。実はまるごと、飲み込むケースは少なくない」 

 先が細い形状も飲み込みやすい原因のひとつ。猫のじゃれつき遊びは『狩り』の名残なので、「捕まえた」ら「食べる」ことが多いのです。

④おもちゃが腸に詰まっても食べたものを通してしまう

 先生がこのタイプのネズミのおもちゃを「やっかい」だと思う理由がこれです。

「外皮がとれたおもちゃにはたくさんの小さな穴が開いていて、胃で消化したフードなどは通過してしまうんです。だから腸に詰まっているのに、ご飯も食べる。便も出る。でも食べる量は少ないし元気もない。「何かおかしい?」と思いつつも、様子見してしまう。それで発見が遅れるんです。

猫の不調はわかりづらいので、気付いた時にはひどい状況のケースも
猫の不調はわかりづらいので、気付いた時にはひどい状況のケースも

誤飲した時、飼い主はどうしたらいい?

 そうはいっても、猫が大喜びするおもちゃです。ちょっとしたケージや猫ベッドなどの用品を買うとおまけについてきたり、キャットタワーに付属していたりすることもあります。

「できれば他のおもちゃにしてほしいですが…。もしもこのタイプを使うなら、猫だけで遊ばせないこと。飼い主がちゃんと見ていてあげて、飲み込みそうなら取り上げてください」
この時のポイントは『あまり興奮させすぎないこと』。

「興奮しているときに取り上げようとすると『獲物を横取りされる』と思って、慌てて飲み込もうとします。それでは逆効果なので、エスカレートしそうだと思ったら、途中で取り上げて落ち着くまで隠す。どうしても離してくれそうもなかったら、「ちゅーる」などの大好きなおやつで気を引いて取り上げるのも手です」

 ネズミのおもちゃ以外に、誤飲に注意したいものはありますか?

「本当によく見るケースはひも状のものです。毛糸、チャーシューを縛ってあったタコ糸、それから爪とぎなどの猫家具につかわれている麻ひも。爪を研ぐうちに切れてほどけて、それを食べてしまう」

 もちろん、猫のおもちゃについているひもも!ひもの誤飲が恐ろしいのは、腸にまで到達しやすく、しかも腸管をきずつけてしまうこと!

「万が一、お尻からヒモが出ていても絶対にひっぱらないこと。どこかに引っかかっていたら大変です。すぐに病院へ連れて行きましょう」

ペットボトルのキャップやビニールなど身近なものも誤飲の危険アリ
ペットボトルのキャップやビニールなど身近なものも誤飲の危険アリ

 最後に、猫が誤飲してしまったら、どうしたらいいのかを聞きました。

「気づいたらすぐ、夜でもかまわないから病院へ行くこと。獣医師はまず、何を飲み込んだのか、どこまで進んでいるのかを特定します。いち早くそれがわかれば対処も早い。早い段階で吐き出させるのが一番ダメージが少ないんです」

 そのため、飼い主さんにお願いしたいのは、

「できれば初期の診察でレントゲンと超音波の検査ぐらいさせていただけるとありがたい。それぞれ3000円~5000円ほどお金はかかりますが、様子見している間にどんどん事態が悪化すれば、手術せねばならなくなることも。最悪の場合、死に至ります」

 飲み込むのはほんの一瞬。でも、そこから引き起こされる結果は重大です。

「飼い主さんが知っていてくれるだけで、避けられるトラブルはたくさんあります。これからもツイッターやYouTubeのほか、発信を続けていきます!」

 これは飼い主さん、ぜひチェックしたいですね!

東一平先生
アイエス動物病院院長(千葉県市川市)。「自分自身が通いたくなる動物病院を目指して日々がんばっています。予防や早期発見によって病気にしない健康管理を一緒に探していきましょう!」
ツイッターYouTubeはこちら

浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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