保護犬を補助犬に 子犬のきょうだい、セラピードッグ目指す

「補助犬とくしま」の杉井ひとみ理事長と、アル(右)とモニー。アルは鼻のまわりが黒っぽいのが特徴だ
「補助犬とくしま」の杉井ひとみ理事長と、アル(右)とモニー。アルは鼻のまわりが黒っぽいのが特徴だ

 県動物愛護管理センターに保護された犬を引き取って、補助犬やセラピードッグに育てるNPO法人「補助犬とくしま」(徳島県徳島市)が16日、初の保護犬2匹を譲り受けた。

「補助犬とくしま」は、長年「徳島の盲導犬を育てる会」に勤めた杉井ひとみ理事長(61)らが昨年6月に設立した。同センターから保護犬を譲り受けて、補助犬に育成するのが目的。一定期間引き取って飼育する預かりボランティアに費用などの支援をしながら、犬に訓練を受けさせる。

 今回譲り受けたのは、1月に小松島市櫛渕町で一緒に保護された、兄弟とみられるオスの雑種犬(推定3カ月)2匹。預かりボランティアによって、「アル」と「モニー」と名付けられた。「『令和』の新しい時代にふさわしい名前を」という思いを込め、「調和」を意味するフランス語「アルモニー」から取ったという。16日にセンターであった譲渡式では、2匹は終始じゃれ合っていた。

 預かりボランティアやセンターによると、2匹は健康で人懐っこく、アルは甘えん坊で、モニーは怖がり。今後、トイレトレーニングなどの基本的なしつけのほか、目覚ましやインターホンなどの生活音に敏感になるように音を覚えたり、セラピードッグの訓練を受けたりする。1年後をめどに、聴導犬やセラピードッグの適性があるかを判断される。不向きだった場合、希望する家庭にペットとして引き渡される。

 厚生労働省の統計によると、昨年10月現在、県内で活動する補助犬は盲導犬2匹、介助犬2匹、聴導犬1匹。センターなどによると、聴導犬は認知度が低く、数も少ないという。杉井理事長は「聴導犬の存在や、保護犬から聴導犬になる犬がいることを知ってもらえれば。聴覚障害のある人に『音』を伝え、豊かな生活を送ってもらえるように育てたい」と話す。

 2018年度、同センターに収容された犬猫は約1370匹。約200匹が飼い主の元に戻り、約310匹が新たな飼い主に譲渡された。殺処分された約860匹のうち、譲渡の適性があったものの引き取り手が見つからないといった理由で処分されたのは357匹だったという。
(佐藤祐生)

県が補助犬の貸し付け希望者募る

 県は視覚、肢体、聴覚障害者で日常生活に著しい支障がある人向けに、補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)貸し付けの希望者を募集している。締め切りは4月30日。

 県障がい福祉課によると、盲導犬は視覚障害1級、介助犬は肢体障害1級か2級、聴導犬は聴覚障害2級程度の人が対象。応募は、申請書や住民票、身体障害者手帳の写しなどを同課に郵送するか持参する。応募者の状況や環境から、貸し付けの必要性や緊急性を審査し、候補者1人を決める。

 申請書は県のホームページ からダウンロードできる。

 問い合わせは同課(電話088・621・2237、ファクス088・621・2241)へ。

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