犬が異物誤飲、熱中症…必要な応急措置 かゆみも続けば要注意

 遊びの最中に何か異物を食べたりのみ込んだり、散歩でノミを連れてきたり……。犬を飼うと何かと“事件”が起こるもの。夏になれば、散歩で熱中症の心配もあります。そんな時、飼い主はどんな応急措置をしたらいいかご紹介します。異物の誤食・誤飲や熱中症はすぐに動物病院で診てもらいましょう。(監修:若山正之獣医師、「まるごとわかる犬種大図鑑」より)

誤飲、のどに異物 手でとれなければ、犬を逆さに

 食べ物や異物(おもちゃなど)をのどに詰まらせると、嘔吐、えん下困難、呼吸困難などの症状につながります。とくに若い犬は見境なくものを飲み込んでしまうことがあるので、注意が必要です。

犬ののどに異物? 対応の流れ
犬ののどに異物? 対応の流れ

 もし、犬の口を開け、手で異物をとり出せない場合は、足を持って逆さにしてみましょう。

手で取れなければ、逆さにしてみる
手で取れなければ、逆さにしてみる

 一方、呼吸音が異常で、のどに魚の骨、鶏の骨、釣り針などが刺さっている場合は、自分で処置することは厳禁です。できるだけラクに呼吸ができる体勢にして、動物病院へ運びます。

後ろ足で頭をかく犬
後ろ足で頭をかく犬

かゆみが続くようなら犬を病院へ

 かゆみの原因となるのはアレルギーだけではありません。外傷、寄生虫、細菌、腫瘍なども、かゆみの原因となる場合があります。いずれにせよ、犬がかゆがるときは、できるだけ患部を清潔にして、かいたりなめたりしないように配慮しましょう。

かゆみは冷やすと収まることも
かゆみは冷やすと収まることも

 ドッグベッドのお掃除をしたり、シャンプーを行ったりしてもかゆみが治まらない場合は、動物病院に行って診断を仰ぎましょう。「かゆいくらい平気」と放置してしまうと、思わぬ病気が進行してしまうことがあります。必ず相談をしましょう。

犬が肛門をかゆがる場合、肛門嚢炎、ノミなどを疑う

「肛門嚢(こうもんのう)」とは肛門の周囲にある分泌腺のひとつで、ニオイのある分泌物をためる一対の袋です。通常は、排便時に周りの筋肉が押されることで内容物(肛門嚢液)が排出されますが、なんらかの原因で分泌物を排出する管が詰まってしまうと、細菌感染が起こり、炎症が発生します。また、肛門嚢炎の症状が進むと、管がはれたり膿瘍ができたりします。

肛門のかゆみは肛門嚢を確認しよう
肛門のかゆみは肛門嚢を確認しよう

 また、肛門周囲の皮膚炎やノミの寄生が原因でかゆがることもあるため、適切な対応をとりましょう。

熱中症は死にいたることも
熱中症は死にいたることも

死の恐れもある犬の熱中症 体を冷やして、動物病院へ

 重度の熱中症は意識がなくなり、けいれんを起こすこともあります。もし、意識があり、歩けるような場合は、涼しい場所に移動してから少量ずつ水を与えます。その後、氷のうなどで体を冷やしてから体温をはかりましょう。このとき体温が下がらなければ、至急動物病院へ向かいましょう。

冷やす際の4つのポイント
冷やす際の4つのポイント

 また、意識がない場合は、大きな血管のある4つのポイントに氷のうを当てて冷やし、できるだけ早く病院へ搬送します。

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「まるごとわかる犬種大図鑑」
監修:若山正之/写真:藤原尚太郎
発行:学研プラス
判型:A5、242ページ
定価:1500円+税
監修:若山正之
獣医師。若山動物病院(千葉県佐倉市)院長。犬や猫のヘルススパンを延ばす的確な診断とアドバイスに定評があり、寝たきりや認知症になった犬の介護などに、独自のノウハウを持つ。

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