猫の殺処分ゼロを目指し 生駒市、野良猫の不妊手術費を全額負担
奈良県生駒市は10月1日から、野良猫の避妊・去勢手術費用を全額負担する。フンや尿、ゴミあさりなど環境被害の軽減とともに、猫と市民が共生できるまちをめざす県内初の試み。小紫雅史市長は9月30日、地域の協力や支援が欠かせないとして、「生駒市は猫の殺処分ゼロをめざします」と宣言した。
きっかけは、野良猫から環境被害を受けているという声が多かったことだ。7月、市内の全127自治会にアンケートを実施し、94自治会から得た回答によると市内の野良猫は少なくとも270匹以上いて、被害を受けているとする自治会が46もあった。
また、保健所に市内から野良猫が持ち込まれ殺処分されたとみられるケースは、市環境保全課によると2017年度33件、18年度は49件にのぼるという。
一方で、市は13年度から市民ボランティアによる「地域ねこ活動サポーター」(8月末現在で32人)を募っている。市の補助で野良猫の不妊手術や術後管理、周辺美化などを行い、人も猫も快適に過ごせるまちに向けて活動している。
手術費の全額負担は、こうした取り組みをしやすくするのが目的だ。ただ、勝手に野良猫を捕獲して手術を受けさせればよいというわけではない。
地域住民からの相談に基づき、自治会やグループ、同サポーターたちが、手術が必要な野良猫の特定、猫の捕獲、手術後の管理(えさやり、フン尿の清掃など)、地域での周知について計画やルールを作成。それを元に市へ申請書を提出すれば、市の指定動物病院(市内9カ所)で手術が受けられる。
猫は手術中に耳の先をV字形にカットされる。地域に戻された後も、手術済みであることがわかるようにするためで、公益財団法人どうぶつ基金(兵庫県)が推進している方法だ。
1匹あたりの手術費は、避妊が1万6500円、去勢は1万1千円。市は費用を全額負担するため、野良猫の適正管理を目的に市に寄付された「ふるさと納税」を財源にあてる。18年度は570万円、今年度も8月末現在で740万円が寄せられた。
小紫市長は「地域ねこ活動サポーターを増やし、地域で適切に猫を育ててもらいたい」と話し、理解と協力を求めている。問い合わせは市環境保全課(0743・74・1111)。
(伊藤誠)
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