盲導犬、いまだ拒否されることも 相互理解と適切な管理が大切

 盲導犬の使用者らでつくる「アイメイトクラブ石川」が今年、設立40年を迎える。盲導犬や介助犬の受け入れを飲食店などに義務づけた法律ができて10年以上たつが、いまも拒否されることは多いという。理事長の斎藤正夫さん(71)に聞いた。

 ――盲導犬との出会いは

 子どものころから弱視でしたが、小学5年のときに事故で視力がさらに落ち、その後全く見えなくなりました。

 人生に変化が生まれればと考えて、2006年に盲導犬を申し込みました。10カ月後、東京の訓練施設「アイメイト協会」でペアになる盲導犬と出会い、歩行指導などの訓練を4週間受けました。アイメイトとは「目の仲間」という意味で、同協会がつけた盲導犬の名称です。

 盲導犬と生活すると、1人で行きたい場所に行くことができる喜びを感じます。視覚障害者が自らの意思で自由に出かけて、人と会ったり働いたりする、自立した活動はとても大切です。盲導犬がそれをかなえてくれました。

 今の盲導犬は3頭目。オスのゾロ(2)です。6月にペアになったばかりで、毎日職場まで片道約3キロを一緒に歩いています。盲導犬は道案内するのではなく、使用者の指示に従って動きます。犬を自宅に連れて帰っても、最初の頃は駐車場や公園に入り込んでしまい出られなくなるなど、大変なことも多いですね。

 ――3年前、金沢市内で盲導犬使用者がタクシーに乗車を拒否されたことがありました。2002年に成立した身体障害者補助犬法は、公共機関や飲食店に盲導犬や介助犬などの補助犬受け入れを義務づけましたが、現状はどうでしょう

 三十数年前、盲導犬を使用する知人がいました。当時は飲食店には入れず、バスで乗客から「なぜ犬がいるんだ」と言われていました。その頃と比べると理解は進み、いまは、盲導犬と路上で道に迷っていると、声をかけてくれる人も増えました。

 ただ、県内の盲導犬使用者から「飲食店への入店を断られた」という話はよく聞くし、私も経験しています。補助犬が入店できることをアルバイト従業員が知らなかったり、「とにかく動物お断り」だったり、理由は様々です。

 拒まれたら、「一度店内で盲導犬の様子を見てほしい」とお願いすることもあります。店に入ると、テーブルの下で伏せておとなしく待ちます。静かだから、後から入った客が気付かないことも多い。

 ただ、なかには犬アレルギーの人や、犬が大の苦手という人がいるかもしれません。一方的に説得するのではなく、盲導犬を使用する側と店側の相互理解が必要だと思います。使用者も、日頃から訓練を続けるだけでなく、ブラッシングやトイレなど管理を適切にしていることが大切です。

 ――厚生労働省に尋ねると、今年3月時点で県内の盲導犬は16頭、介助犬は1頭でした。盲導犬を見かけたらどうすればよいですか

 路上で犬の名前を呼んだり、触ったりすると気が散ってしまい危険です。でも盲導犬を連れている人が横断歩道で渡るのを待っているときや、道に迷っているなと思ったら、積極的に声をかけてもらえると、とても助かります。

 ――アイメイトクラブ石川の今後は

 引退後の盲導犬を飼ってくれるボランティアや、イベントのサポートなどをしてくれるボランティアの協力があって、私たちは安心して盲導犬と暮らしていけます。もっと増えてくれるとうれしいです。

 クラブとしては、美術館や音楽会に、使用者が盲導犬と積極的に出かけて、存在を知ってもらい、理解してもらえるように活動していきたい。これから補助犬を持つ人のためにも、もっと社会に受け入れられるよう頑張ろうと思います。
(ライター・須藤佳代子)

斎藤さん略歴
 さいとう・まさお 1948年、小松市生まれ。県立盲学校卒業後、病院勤務を経て、筑波技術短期大学(現・筑波技術大学)の非常勤講師に。95年、視覚障害者向けソフトウェアの研究・販売などをする「アクセス・テクノロジー」(小松市)設立。2006年にアイメイトクラブ石川の会員になり、今年6月から理事長。
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