「僕は猫の脇役」立川志の輔さん、映画「猫とじいちゃん」を語る
富山県射水市出身の落語家、立川志の輔さん(65)主演の映画「ねことじいちゃん」が、22日から全国で公開された。妻に先立たれ、小さな島でネコと暮らす元教師が、移住してきた若者との交流や幼なじみの死を通してふるさとの温かさを再確認する物語。映画初主演の志の輔さんと、監督を務めた動物写真家の岩合光昭さん(68)に見どころなどを聞いた。
――映画初主演の感想は
志の輔 気負って現場に臨んだが、僕はネコの脇役だった。それぐらい、ネコが素晴らしかった。落語家の目で見ると台本は起伏が少なくて「何が撮れるんだ?」と思ったが、出来上がった映像は想像よりずっと素晴らしかった。
岩合 主演はやはり「ねことじいちゃん」の両方。ネコに興味がない人もネコの味方になってしまうような映画になった。
監督の岩合光昭さん「猫は島の要の存在」
――ネコの存在が大きい
志の輔 島の人間関係の中でネコは大きな役割を果たしている。主人公が息子の住む東京との間で心が揺れた時も、島につなぎとめてくれた。1カ月間、ネコと一緒に撮影しましたが、明るく笑顔があふれる現場でした。
岩合 ネコにとって居心地がいい島は、人間にとっても居心地がいい。ネコは日本人の理想のふるさとのようなこの島の「要」の存在です。
――地方に移住する若者の姿も描いています
志の輔 最近、実家近くの内川に外国人がバーを開いた。「商売になるの?」と心配したけど、地元の人や観光客が来るらしい。Iターン、Uターンでどんどん富山に移住する人が増えている。僕だってやはり最後は富山に住みたい。交通も便利になり、富山を拠点に東京に落語を届けるという選択肢があってもいい。
身の回りの存在のありがたさ気付かせてくれる
――映画の見どころは
志の輔 島と同じく自然に恵まれた富山の生活の素晴らしさを再発見してもらえると思う。皆さん、必ずしもネコは飼っていないだろうけど、飼い犬や毎日顔を合わせる隣のおばちゃん、雪かきをしてくれるおじさんなど、身の回りの存在のありがたさに気づかせてくれると思います。
東京から富山に戻ると方言が自然に出てくる。方言は、富山の皆さんと僕をつなぐ、映画のネコみたいな存在かもしれません。
(聞き手 松原央)
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