「猫用こたつとミカン」1カ月で完売 「農家も猫もハッピーに」
和歌山県産のミカンと、段ボールで作る「猫用こたつ」をセットにした企画商品が、SNSで話題になり、用意した1000セットが1カ月で完売した。その名は「猫と、こたつと、思い出みかん。」。大好評だったため、早くも来シーズンの発売が決まった。
商品は、原稿用紙や猫などがデザインされた段ボール箱入りのミカン5キロと、組み立て式の猫用こたつのセットで、3922円(“サンキューニャンニャン”、税別)。こたつ(天板35センチ×30センチ)も段ボール製で、簡単に組み立てられ、家にある布をかぶせれば、猫と冬の風物詩を楽しみつつ、ミカンを味わえるという。
発売元は鶏肉店?!
和歌山県御坊市の中田鶏肉店の中田直希専務(43)が友人らと企画し、自社のネットショップで、昨年12月14日から発売した。「正直、反響にびっくり。猫好きの皆さんの心に響いて嬉しいし、和歌山のみかんを食べてもらえてよかった」
でも、なぜ、鶏肉店がミカンの販売なのか。
中田さんは昨秋、近隣の農家から「どうしたらうちのミカンをもっと知ってもらえるか」と相談されたのだという。和歌山では「有田みかん」が有名だが、それ以外にも県内には「天田みかん」や「土生みかん」など“味のよい”ミカンがある。だが、ミカン農家は高齢化してきており、隠れた名品が地域から消えていくのはさみしい……。そこで中田さんは和歌山産のミカンをPRするために企画商品の販売を考えた。
「ミカンといえばこたつ、こたつといえば猫が思い浮かびます。昔うちでも猫を飼っていて、“猫のためのこたつ”をセットにしたら楽しそうだと思いました。猫のはんこを作っている友人と一緒に企画を進め、彼の知り合いの段ボール業者に相談すると、『それ、ええやん!』と賛同してくれて、トントンとデザインができあがっていったんです」
保護猫のために寄付も
さらに、中田さんが懇意にしている保護猫カフェ「ネコリパブリック」代表の河瀬麻花さんにも相談した。河瀬さんの発案で、商品を買うと、保護猫活動を支援できる仕組みも取り入れた。売り上げの2%はネコリパブリックに寄付。さらにツイッターやインスタグラムで「#猫とこたつと思い出みかん」とハッシュタグを付けて写真投稿すると、1件2円が寄付されるキャンペーンも開催した。
「世の中にはまだまだ保護猫や殺処分のことを知らない方もいるので、おいしいミカンの味を知るとともに、保護猫活動のことも知ってもらえれば。すでに保護猫をお家に迎えた方はコンセプトに共感してもらえると嬉しいなとアイデアが広がったんです。願いは、農家も、買った人も、猫も、みんながハッピーになることです」
こんな思いと夢が詰まった商品だったが、発売開始5日間は見向きもされなかったという。
「僕の独断で販売を開始したので、社内では大ひんしゅくでした。ミカンは何トンも届くわ、段ボールは山積みになるわで、これは大変だと思っていたら、ある猫メディアで紹介されたのをきっかけに、SNSや新聞で面白いと取りあげられ始めました」
猫好きで知られる歌手の矢野顕子さんも「ニューヨークまで配達してほしいです」とツイッターでつぶやいた。こうして拡散され、 クリスマスをピークに盛り上がり、発売から約1カ月、1月12日に売り切れた。その後も問い合わせが続いているという。
今月から予約受付開始
すでに和歌山のミカンの収穫は終わっており、追加販売は出来ないが、早速、来シーズンも販売することを決めた。写真投稿による寄付も続ける予定だ。
「こたつの足がもっと長くないと猫が入りづらいとか、台が不安定といったお声もいただいたので、改良を加えたいです」
来シーズン分の予約は、猫にちなんで、今月22日22時22分から受付開始。販売予定数は今回の倍以上の2222個。アイデアが地域に新風を吹き込んでいる。
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