国内外で人気の秋田犬 ふれあい施設でストレス、体調崩す犬も

 平昌五輪フィギュアスケート女子金メダリスト、ロシアのアリーナ・ザギトワ選手に昨年5月26日、秋田犬保存会(本部・秋田県大館市)が秋田犬の子犬「マサル」を贈った。マサルに顔をなめられるザギトワ選手の表情は、モスクワから世界に発信された。

 戌(いぬ)年に、どんな犬種より話題となったのが秋田犬だった。県がザギトワ選手に贈った秋田犬のぬいぐるみには、全国から注文が殺到。佐竹敬久知事は昨年3月、秋田犬を「県観光のキラーコンテンツとして国内外への売り込みを強化していく」と宣言した。

一気に高まった秋田犬人気、各地に展示施設

 一方、急速に人気者となった結果、展示施設の秋田犬が体調を崩すなど、新たな課題も浮かんだ。

 知名度は高くても、実際に秋田犬を見られる施設はほとんど無かった。一昨年8月に大館市にオープンした「秋田犬ふれあい処(どころ)」の人気に触発されたのか、昨年は展示施設が急増した。

 秋田犬の殺処分ゼロなどをめざす一般社団法人「ONE FOR AKITA」は昨年4月、秋田市中通1丁目のエリアなかいちに「秋田犬ステーション」をオープン。秋田市も同年6月、「秋田犬ふれあい処in千秋公園」を開設した。

 横手市の「秋田ふるさと村」では同年7月から月に2回、秋田犬と写真撮影できる。道の駅おが(男鹿市)にも秋田犬用の小屋やドッグランが完成し、県内の展示施設は13になった。

大勢の知らない人と触れ合い、秋田犬にストレスも

 施設が人気を博す一方、問題も生じた。大館市のふれあい処は1年間で2万人以上、秋田市内の2施設も合計で8万5千人以上が訪れた。本来、1人の主人に尽くす秋田犬は、たくさんの知らない人に会えば、ストレスがたまる。

 大館市のふれあい処の「飛鳥」は体調を崩して同年8月中旬から休業中。市によると、「あこ」は同月下旬、実際に触れ合えるようにしていたのを柵の外から見学する形に変わってからは、ストレスをさほど感じていないようだという。

「秋田犬ファースト」へ 取り組みスタート

 こうした事態を踏まえ、県が音頭をとって同年10月、秋田犬を展示する団体や関係する自治体約20団体が「秋田犬ネットワーク会議」を立ち上げた。県の成田光明・観光振興課長は「『秋田犬ファースト』の取り組みが大切だ」とあいさつした。

 10年前から秋田犬を展示している、仙北市田沢湖畔の土産物店(協業組合田沢湖共栄パレス)理事長の鬼川孝助さん(75)は席上、一昨年12月に秋田犬をみとった経験を話した。飼い始めたきっかけは、県の観光課長だった田中昌子さん(61)=昨年3月に生活環境部長で退職=から「海外でAKITAと言えば、県より犬の方が有名と聞いたから」だった。

 鬼川さんは「秋田犬は大型なので、最後まで面倒をみるのは大変。私に起きたことは何年後か、必ず各施設で起きる。展示から引退した犬をケアする施設も考える必要があるのではないか」と述べた。

 会議では県内の各施設が犬のストレス軽減のために工夫していることなどを発表。今後は共通の「ただし書き」を作ることを検討する。「ここを見れば、県内の秋田犬情報がすべて分かる」ウェブページも年度内に開設する。

「ルールを決めて、秋田犬守っていきたい」

 展示施設ではなく、ホテルなどで飼われる秋田犬も増えている。先駆けは4年前から仙北市角館町にすむ「武家丸」。メディアにも登場し、ブームで見学者がさらに増えた人気犬だ。

 飼い主の高橋あゆみさんは「会いに来てくださる方に写真くらい撮って頂けるよう配慮していますが、飼い主を見てあいさつもお礼もなく逃げて行く人が多く、悲しい気持ちになります。自分たちでしっかりルールを決めて、武家丸を守っていきたい」と話す。

 秋田犬はゆるキャラではなく、病気もすれば、いつかは死ぬ。ただ「かわいい」だけではなく、人と秋田犬が良い関係で末永くつきあえる方法を、みんなで考えないといけない。
(村山恵二)

朝日新聞
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