「困っていたらうちにおいで」 坂上忍さん愛犬13匹との暮らし
千葉の自宅で13匹の愛犬と暮らす坂上忍さん。俳優・タレントとして多忙な日々を送るなか、犬との暮らしを最優先にした生活を貫いています。13匹と暮らすことになるまでの経緯や思いを聞きました。
――自他ともに認める「犬好き」ですね。
今でこそたくさんの犬と暮らしていますが、実は一度、「失敗」しているんです。20代の頃、ペットショップで一目ぼれして犬を飼い始めたのですが、仕事の忙しさなどを理由に世話をしなくなり、結局、知人に譲ってしまいました。その犬が亡くなったことを知らされた時、ひどく後悔しました。面倒を見切れなかった、愛情を注いであげられなかった……と。
それからはずっと「自分はペットを飼ってはいけない人間だ」と言い聞かせていました。
でも、いつかはあの時の失敗を取り返したいという思いもありました。そんな時、ペットショップで売れ残っていたチワワに出会ったのです。今、我が家の長男になっている「佐藤ツトム」です。
――今は保護犬を含め、総勢13匹に。
「困っている犬がいたらうちにおいで」という気持ちでいたら、いつの間にかこうなりました。出会い方で、強く印象に残っているのは、4番目にやってきた「森田パグゾウ」です。
リードを買おうとたまたま入ったペットショップで、1匹だけ明らかに小さい犬がいました。ほかの犬からいじめられていたようでした。耳はかじられてギザギザ、店内はにおいがきつくて劣悪な環境……。放っておけず、「治療代を払うから、引き取らせてくれ」とお願いして、連れて帰りました。
責任を持って動物と暮らす以上、「みとり」という悲しい別れを経験することもあります。そんな時、もちろん悲しいのですが、僕は、この子が亡くなったぶん「もう1匹救える」と考えるようにしています。「最期まで飼いきることのできる人」は、犬をきちんと飼える資格を持っているようなもの。ペットロスで苦しむ気持ちもよくわかります。でもそういう人こそ、次に保護犬を迎え、幸せな犬を増やしていってほしいと思います。
フルネームで名前つけると覚悟が生まれる
――名付けが独特ですね。
皆に名字と名前を付け、呼ぶ時は「さん」や「君」付けです。飼い主とペットという関係ではなく、対等な、親と子のような関係でありたいと思っているので。
フルネームを付けることで「同じ命として尊重する」覚悟が生まれるとも感じています。以前に失敗したように「付き合い方を間違えちゃだめだぞ」と、自分に戒めているんです。
――多数のレギュラー番組を抱えるなかで13匹の世話。苦労も多いのでは?
今日も、日の出とともに起きて犬の散歩に行き、ご飯を食べさせ、それから仕事に来ました。これからすぐに家に帰って、また散歩です。
でも、犬の世話も含めて「家のことをきちんとできる人間」でなければ、真っ当な仕事をするとかいう以前の問題として、人としてダメだと思うんです。朝起きて、散歩して、それで皆が健康なウンチをしてくれる。それで、「あ、今日も仕事行っていいのかな」という気分になれるんです。
――犬たちに合わせて、生活も変えられたとか。
犬中心ですからね。千葉県に引っ越したのも、犬たちのためです。今の場所に住むようになって、犬にとって土や草がどれだけ大切かを思い知りました。散歩の際の犬のテンションが、東京都内でアスファルトの上を歩く時とは全然違います。
ほかにも家の中を滑りにくい床にしたり、隣の土地を買ってドッグランにしたり。とにかく、犬にいい環境を追求しています。
動物との暮らしで失敗も すべて隠さず伝える
――10月からの新番組では、動物と人間の共生をめざす「どうぶつ王国」作りに取り組んでいます。
年齢的にも、僕が今以上の頭数を飼うことはできないと思っています。だからこそ、自分の周囲だけではなく、なるべく多くの動物を救えるような環境が作れないかと、番組を通じて考えています。
動物と暮らすことは簡単じゃありません。実際、失敗も多いです。番組ではそれを隠さずにきちんと見せることで、動物と関わる人間の意識が変えていけたらいいなと思っています。
時間も労力もお金もたくさんかかると思います。それでも、僕が死んでしまった後も、きちんと「王国」が存在し続ける仕組みを残していきたい。それが今の目標です。
(聞き手・中井なつみ)
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。