子犬期のしつけで、問題行動を防止 パピークラスの授業を拝見
犬を飼い始めた頃は、どうしつけたら良いか迷うもの。しかも子犬の時期のしつけは、その後の行動を左右するといいます。そのため各地でしつけ教室が盛んに開かれるようになりました。その中、20年以上続く「もみの木動物病院」(兵庫県神戸市)のパピークラスを主宰する村田香織獣医師に話を聞きました。
(末尾に写真特集があります)
問題行動を未然に防ぐ
村田先生は動物行動学が専門。レッスンには、著書「こころのワクチン」をテキストとして使っています。
このパピークラスは、無駄吠えする、噛むなどの問題行動を起こさない子に育てるために始まりました。問題行動があると、人と一緒に暮らすことが難しくなり、最悪の場合、飼育放棄などにつながりかねません。そうした不幸をなくすためにも、 問題行動を予防しようというのです。
最近では保護された子犬を飼う人が増えていますが、保護犬には警戒心が強く、臆病な傾向もあるといいます。そのため、ちょっとしたことで人や犬に噛みついたり、吠えたりしてしまわないように、子犬のうちに社会性を身につける(社会化する)必要があるのです。
パピークラスの目標は2つ
もみの木動物病院のパピークラスの目標は、大きく分けて2つ。ひとつは、家族との関係を良好にすること、そして2つめは、動物病院が楽しいと感じられるようにすることだそうです。
問題行動を予防するため、パピークラスではさまざまなことを学びますが、生後5ケ月までにトレーニングを受けることが大切だといいます。この時期の子犬は、学習したことをどんどん吸収して、大きく成長することができます。その子が持っている個性を最も大きく伸ばせる時期に、家族と一緒に学び、社会化すること。それが将来にわたって、飼い主との関係を良好に保ち、犬も幸せになれます。そして、しっかりと“親子”の絆が結ばれることになるそうです。
また毎回のレッスンでは、最初に診察台に乗る練習をします。体重を計ったり、体のいろいろな部位を触られたりすることで、少しずつ病院の雰囲気に慣れて、病院が楽しいと思えるようになるといいます。いざ病気になった時も病院を嫌がらず、診察がスムーズに行えるようになります。
家族と子犬が学ぶこと
もみの木動物病院のパピークラスは、2ヶ月半で計8回のレッスンを行います。トレーニングするのは、JAHA(公益社団法人日本動物病院協会)認定のこいぬこねこ教育アドバイザー。しつけだけでなく、健康管理のスペシャリストでもあります。現在、全国で92人のアドバイザーが活躍しているのですが、そのうち6割が動物看護師、3割が獣医師、その他(病院事務・トレーナー・トリマーなど)が1割の有資格者です。
1回のレッスンには、数組の家族が子犬と一緒に参加し、実技を交えながら講習を受けます。
たとえば、「おいで」の練習。ごく短い距離からはじめ、戻ってこられるようにすると、犬を安全に遊ばせることができます。
また、社会化のために、いろんな人からおやつをもらって、人を好きになる練習もします。レッスンには複数の家族が参加するので、子どもや高齢者など、幅広い年齢層、性別の人に触れ合って慣れることができます。
また、パピークラスでは、人も犬の習性について学ぶことができます。たとえば、おやつをあげる時は、指でおやつをつまむのではなく、手を広げて「パー」の状態にしてあげると良いということなど、犬と楽しく暮らすための知識も身につけられます。
ひとつひとつ小さなことから学びを深め、家に帰って復習し、最後に15項目のうち12項目クリアできたら卒業となります。2017年は97匹の子犬たちが卒業していったそうです。
■こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座については、こちら
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