新しい飼い主と幸せだワン 保護されたシバイヌ、3匹が再会

ボス犬の「おとうさん」は自分で飼い主を引き寄せ、「まる」になった
ボス犬の「おとうさん」は自分で飼い主を引き寄せ、「まる」になった

 昨年末、高齢の飼い主の急な入院で静岡県藤枝市岡部町の山中に取り残された16匹のシバイヌ。ボランティア団体が保護し、感染症などの治療と並行して新しい飼い主を探してきた。落ち着き先を見つけた3匹が今月、焼津市であったイヌネコ譲渡会で再会した。

 ボランティア団体のメンバーらに「おとうさん」と呼ばれていた推定8歳のオス犬は、焼津市の油井基さん(38)、アユミさん(23)、陽菜ちゃん(1)、春陽ちゃん(10カ月)家族の一員になった。群れの秩序を守るために戦い、保護された時は傷だらけ。耳のふちもギザギザに切れていた。2月に伊東市の高齢男性から引き取り希望があって見合いに行ったが、「年寄り」「見てくれも悪い」とけなされ、しゅんとなって帰って来た。

 ところが3月3日、犬小屋を寄付しようと譲渡会にやって来た基さんには、仰向けになっておなかを見せた。30分ぐらい甘えた後、基さんがその場を離れるとボス犬の顔に。1時間後に基さんが現れると、再び足にすりすり。すでに2歳半のシバイヌ「コタロー」がいて犬を飼うつもりがなかった油井家に、居場所を得た。丸顔から「まる」と名付けられた。家族の中の地位はコタローの下。すっかり甘えっこの顔になった。

新しい飼い主の元で、白い毛並みにツヤが戻ったイチゴ(左)とぽん太(右)
新しい飼い主の元で、白い毛並みにツヤが戻ったイチゴ(左)とぽん太(右)

 5歳のメスのイチゴは人間に抱っこをせがむ。シバイヌでは珍しいという。一時預かりを請け負った焼津市の尾崎文也さん(72)、せつ子さん(70)は、腕の中で震えているイチゴに情がわき、正式に飼うことにした。最初は音に敏感で、おびえがひどかった。ところが夜は布団に寄って来て甘える。前の飼い犬が死んで5年。高齢で、新たには飼えないと思っていた夫婦の心を動かした。

 4歳オスのぽん太は藤枝市の岡谷光幸さん(63)、雅子さん(58)一家に引き取られた。ひどい環境で飼われていたためか、人間を怖がった。玄関に置いた化粧ケースに入ったきり出てこない。散歩も50メートルでUターン。最近ようやく、居間の椅子の下にえさを置いておくと食べに出てくるようになった。脚の間にしまわれていたしっぽも外向きになり、うれしいと振る。

 仲介した「しだはいワンニャンの会」の長野美智代代表(59)は「みんな、ブラシをかけられ、毛並みがツヤツヤで見違えるよう。何より笑っているのがうれしいです」。16匹のうち7匹はまだ譲渡先を探している。問い合わせは「チーム柴犬2」(https://team-shiba-inu.jimdo.com/)へ。

(阿久沢悦子)

朝日新聞
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