60年前の秋田犬の動画を発見 姿もふるまいも今とちがう!
忠犬ハチ公で有名な秋田犬。60年ほど前の動画が、ヤマザキ学園大(東京都八王子市)に保存されていることがわかった。今のイメージとはだいぶ異なる姿や振る舞いが映っている。
保存されていたのは、1950年代から80年代にかけて撮影された8ミリフィルム計438本。48年に設立された社団法人「秋田犬協会」(本部・神奈川県)が2016年の解散を前に、同大に寄贈したものだ。
現在の「標準的な秋田犬」にはたち耳、赤、白、虎などの毛色といった条件がある。性格は飼い主に忠実で冷静沈着とされる。
ただ、ずっとこうだったわけではない。明治以降に闘犬目的で積極的に洋犬と交配された時期があり、第2次世界大戦中は毛皮用に供出させられて頭数が激減、軍用犬にするためシェパードなどとの混血も進んだ。こうしたことから戦後すぐの時点では、姿形や性格が現在のイメージと異なる秋田犬が多く存在した。
そこで本来の秋田犬に戻そうと、獣医師らが秋田犬協会を設立。展覧会を通じてもとの姿形や性格に近い秋田犬を選び出し、そうした犬たちを中心に繁殖を行っていくこととした。
千葉県支部主催の第1回展覧会(58年)の動画には、耳が折れていたり、洋犬のようなブチが入っていたり、鼻先だけが黒かったりする秋田犬が登場。71年の展覧会では、ほとんどが「標準的な秋田犬」に集約されていた。
「標準」に戻す過程では、人への依頼心が強かったり、物おじしたりする犬は繁殖から除外されたという。協会最後の会長だった黒瀬敏之さんは「58年と71年を比べると、人前でおびえた様子を見せる犬が減っている」と指摘する。
動画だと動きや表情の変化がわかるため、性格や人との関係性も把握できる。同大では秋田犬の変遷や犬と人との関わり方の変化の研究に役立てる考えだ。
(太田匡彦)
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