大切な人の死やペットロス…喪失の悲しみを話し合えるカフェ

(写真は本文と関係ありません)
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 大切な人との別れなど喪失による悲しみ(グリーフ)を語り合うカフェイベントが和歌山市内で開かれている。聞き役は、多くの人を看取(みと)り、家族らを支えてきた医療・介護職の女性たち。それぞれのペースで悲しみに向き合い、生きる力を育んでほしいと願い、活動を続けている。


 主催者の一人、武田悦子さん(46)=和歌山市=は訪問看護の仕事で、多くの死に立ち会ってきた。「(患者が)亡くなった後、家族の『その後』が気になっていた。人が亡くなることについて、感じた気持ちを安心して話せる場所を作りたいと思った」


「日本グリーフ専門士協会」(事務局・茨城県)の養成講座を受けた仲間と「和歌山グリーフ専門士の会」を設立。2016年秋、喪失体験について話し合うカフェ形式の催し「グリーフケアカフェ mana(マナ)」を始めた。


 身近な人やペットと死別した人、離婚経験者、身体機能を失ったり退職や失職で居場所を失ったりした人など――。幅広い「喪失」の経験がある人に門戸を開いてきた。メンバー自身も家族を自死で亡くしたり、ペットロスに向き合ったりしてきた経験者だ。


 お茶やお菓子を囲みながら、1時間半ほど話をする。無理せず参加できるよう「話したくないときは、話さなくてもいい」とも伝えている。参加者の一人は「家族を亡くして何十年も経つ。身内には話しづらいけど、ここなら話せる」と話していたという。


 医療・介護関係者の間で賛同の輪が広がり、今やカフェは「mana」を含めて市内3カ所に増えた。メンバー2人ずつで、いずれも毎月1回開いている。訪問看護師、浜崎智美さん(39)=同市=は「悲しみは消えないけれど、ここに来て悲しみの形が変わって、生きやすくなってもらえたらと思う」。


 参加費は各回500円で、最大5人まで。飛び入りでも参加できるよう、予約がなくてもメンバーが会場で待っている。武田さんは「『今度しんどくなったら行こう』と思ってもらえるよう、持続的に活動したい。真っ暗な中で手を伸ばせる灯台のような場所でありたい」と話す。


 問い合わせは「福徳の里」内の事務局(073・463・9010)へ。


(杢田光)

 

 

■カフェ開催予定

◆徳(toku)
2月18日午後2時、和歌山市屋形町4丁目のそば屋「そば切 徳」。

 

 

◆縁(えにし)
2月20日午後6時15分、同市里の「やまぐちささえ愛センター」。

 

 

◆mana(マナ)
2月26日午後7時、同市梶取の「福徳の里」。

朝日新聞
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