子犬を見つめる母犬の像「子宝いぬ」 水天宮の人気マスコット
■安産祈り安全守る最新社殿
子宝や安産祈願で知られる東京都中央区日本橋蛎殻(かきがら)町2丁目の水天宮は、今年で江戸鎮座200年。もともとは福岡県久留米市にあり、1818(文政元)年に久留米藩主・有馬頼徳が国元から港区三田、赤羽橋近くにあった江戸上屋敷に分祀(ぶんし)した。
屋敷内にある水天宮への参拝を望み、塀越しにさい銭を投げる人も後を絶たなかったという。そこで日を限って屋敷の門を開き、庶民の参拝も認めた。「そうしてお参りした妊婦が安産だったことから、評判が広まり信仰を集めるようになったようです」と宮司の有馬頼央さん(58)は説明する。歴代の有馬家当主で初めて、水天宮の宮司を務めている。
藩邸は明治維新で接収され、水天宮は青山を経て1872(明治5)年に現在の場所に落ち着いた。
2009年に宮司に就任した有馬さんは、鎮座200年の記念事業として、老朽化した社殿の建て替えを決めた。「女性やお子さんが多く参拝する神社ですので、安全を第一に、また万一の避難場所にも利用していただけるように」と、地下に免震層を設けて境内全体を免震化、16年に完成した。「建物の視察で訪れる方も大勢いらっしゃいます」と言う。1階の通路脇には、大地震の際に建物が動くスペースとして60センチほどの溝状の植栽帯がある。
お産が軽く多産の犬にあやかり、12日に1度の「戌(いぬ)の日」は多くのお腹(なか)の大きな女性たちで混雑するが、実は参拝はいつでも構わない。「体調や都合のよい時においでください」と有馬さんは話す。
子犬を見つめる母犬の像「子宝いぬ」の前では、参拝客が次々と記念撮影。母犬を取り巻く十二支の球のうち、自分の干支(えと)をなでると様々な御利益があると言われる。東野圭吾による人気小説、加賀恭一郎シリーズ中の「新参者」にも登場し、マスコット的存在だ。「安産子育河童(かっぱ)」は、母河童の肩や足元に赤ちゃん河童がしがみついている親子像。水難よけも、この神社の御利益として有名だ。
水天宮境内の宝生弁財天を含め、周辺の七つの神社で構成するのが「日本橋七福神」。歩いてめぐる人々で元旦からにぎわう。
(大村美香)
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