神社の「ご神犬」すずひめ号、世界遺産PRにがんばるワン!
世界遺産のご神犬のお出ましだワン――。高野山とゆかりが深い世界遺産丹生都比売(にうつひめ)神社(和歌山県かつらぎ町)に、紀州犬「すずひめ号」(生後11カ月・メス)が、「ご神犬」として奉献された。2018年の干支(えと)、戌(いぬ)年にちなみ、毎月16日の祭礼日に同神社に参拝し、神社のシンボルとして世界遺産のPRをする。
(末尾に写真特集があります)
すずひめ号は、紀州犬愛好家で日本犬保存会会員の豊岡由行さん(42)=橋本市=が飼育。ご神犬となってからも豊岡さんのもとで暮らしつつ、毎月16日の祭礼日などに神前に参拝する。
12月16日に同神社であったご神犬の奉献奉告祭では、すずひめ号は首に鈴を着けて登場。大役が不安なのか、時折「クゥーン」と鳴いたが、写真撮影には胸を張って応じた。
同神社と犬と高野山の関わりは、高野山の成り立ちに関する高野山開創縁起などに示されている。「弘法大師は白黒2頭の犬によって高野山に導かれた」とあり、その2匹を連れて大師の前に現れたのが、同神社の御祭神、高野御子大神(たかのみこのおおかみ)という。丹生晃市宮司は「犬から始まった結びつきが知られていないのはもったいない。ご神犬が、神社と高野山の縁を知ってもらう入り口になれば」と話す。
すずひめ号に会える時間は、1月16日は午前10時~正午と午後1~3時。その後の公開時間は同神社のサイトで案内する予定。
■「お大師さんの犬」実在した 案内続けた「ゴン」
高野山と古くから縁が深い犬。実際に「弘法大師の案内犬」と呼ばれた犬も実在した。
昭和の終わりの1980年代後半から、高野山につながる参道「町石道」の登り口の慈尊院(九度山町)辺りに住み着いていた白色の元野良犬(オス)。「ゴン」と呼ばれ、2002年に死んだが、寺には「高野山案内犬ゴンの碑」と書かれた碑が残る。
生前、ゴンは誰に教わったわけでもないのに、町石道(約24キロ)を歩くお遍路など参拝者に約5年間、道案内を続け、「お大師さんの犬」と親しまれた。後にゴンの飼い主となった同院の安念清邦住職によると、高野山への道中は参拝者の足に合わせて7、8時間かけて歩き、送り届けた帰り道は、木々の間をすり抜けて素早く寺に戻ったという。
「ゴンに案内された」という参拝者から手紙や写真が寺に届くようになり、ゴンが案内していることを知ったという住職。手紙のあて名に「神犬ゴン」と書かれていることもあった。
ゴンの碑は、弘法大師像と並んで建てられ、今も参拝者が絶えない。住職は「来年は戌年やから、ゴンに金の羽織でも着せてやりたい」と話す。
(土井恵里奈)
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