大型犬もヤギも出没!? 柵だって乗り越えられる愛
ヤーサス!
連載3回目の今回は、ご近所のわんこ事情についてです。
私はキクラデス諸島にあるシロスという島に暮らしています。内陸のギリシャ中部都市に暮らす友人宅と比べると自然と違いが目につきます。
動物関連で一番違う所は、大型犬や家畜を飼う家が島では多いことだと思います。島や郊外は圧倒的に一軒家が多く、土地も広いので当然のことかもしれません。
ただ、民家が立ち並ぶ地域の空き地にいきなり「馬がいる!」とか、「えっ、ヤギ!?」「あれれっ……野生のハリネズミ……!?」などが日常茶飯事なのは、なかなか日本では考えにくい自由さです。これはオーストラリア人の友人にもビックリされたので、国際的にも珍しいことなのかもしれないですね。
そんな感じで住宅地に馬がいるんですもの、大型犬なんて何の不思議もありません。こんなできごとのおかげで、色々なことが不思議でなくなる国、ギリシャ…。
ヤギは、そのチーズやミルクをよく食べるので、見かけるのも納得がいきます。でも、住宅地の馬についてはとても不思議…。交通の不便な場所では、ロバや馬に重いものを運んでもらうために飼っている人もいますが、街中ならそういう訳でもなさそうです。近々、飼い主さんを見つけてお話を聞いてみようと思います。わかったらレポートしますね!
そんな訳(?)で、比較的すんなり慣れた大型犬の存在ですが、時々困っていることがひとつ。夜になると島のあちこちから聞こえる、聞こえる! 遠ぼえ!! まるでパーティです。
「山に住む野良犬が吠える→飼い犬もつられてほえる」という構図のようです。日本では「夕方に犬がほえるのは、ご飯や散歩の催促であることが多い」と聞いたことがありますが、それよりも「犬の祖先はオオカミだものね…」と野生を感じるほえっぷり。山の方に住む友人の家に泊めてもらった時、遠ぼえの声に囲まれて眠りづらいことさえありました。
さらに、通りかかった車をほえながら追いかける犬などもたまに見ます。車ならまだいいのですが、バイクだと本当にかみつかれそう。この行動にも狩りの習性を感じます。あくまでも野生……!
しつけや去勢、病気の予防などに手厚い日本の、特に都市部でしか暮らしたことがなかった私には、彼らの野性的な姿は少々衝撃的で、大きい犬がちょっと怖くなりかけていた最近ですが、なんともかわいい子が現れました。
ご近所のわんこです。港町へ向かう道で会えます。
島らしいきれいな水色の柵など気にもかけず、グイグイぐりぐり。
柵のありとあらゆる隙間からこちら側へ来ることを試みるも叶わず、急に悟りの表情に。
顔も毛の色も好きなのだけれど、このセットを飽きずに繰り返す、ちょっと覚えられない加減がまたかわいい。
ちょっと触るのは怖いけど近くに座って仲良くなろうと試みていたら、飼い主さん登場。
「ごめんね、キミにも吠えた?」から始まって、少しわんこについてお話しできました。わんこはカルロくんという名前だそうで、慣れれば人なつこいけれど怖がり。夜ほえるのは野良犬につられるからなので、なかなか防げなくて…と飼い主さんも気になさっているご様子でした。
シロス島は過去、ヴェネツィア人やジェノヴァ人が貿易の拠点にしていた場所なので、建物の様式や、一部の島民の方々がイタリア語を英語よりも話せるなど、イタリアの文化が色濃く残っています。その影響か、ペットにつける名前はイタリアか英語の名前が多いそうです。「カルロ」もイタリアの名前ですね。
やはり一頭一頭のキャラクターを知ると、怖くなくなっていくものですね。家の周りは猫だらけで、猫に囲まれるようにして暮らしていますが、カルロくんは少し会わないと恋しくなる私なのでした。
それではまた。タレメ・シントマ(また会いましょう)!
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