保護したツシマヤマネコ、訓練して自然に戻す訓練施設

施設に収容されたツシマヤマネコのナナミ=対馬市、環境省提供
施設に収容されたツシマヤマネコのナナミ=対馬市、環境省提供

 保護されたツシマヤマネコを野生に戻すための訓練を担う施設の運用が、長崎県対馬市で6月から本格的に始まった。自然環境に近い施設で訓練し、餌をとる能力などに問題がなければ野生に帰すという計画だ。6月上旬には成獣1頭が初めて収容された。


 施設は環境省のツシマヤマネコ野生順化ステーション(対馬市厳原町豆酘〈いづはらまちつつ〉)。収容されたのは「ナナミ」の愛称を持つメスで、昨年12月に島内で弱っているところを保護された。ナナミは2015年12月にも衰弱した姿で見つかっており、環境省の対馬野生生物保護センター(対馬市上県町)で治療を受けた後、一度は野に放たれていた。


 ステーションは、森林や草原、斜面地といった自然の特徴を保つ。ステーションでは、柵で囲ったエリアにナナミを放ち、餌を捕る速さや技術を観察。野生でも生きていけると判断すれば、保護された地点に戻すという。環境省の高辻陽介・自然保護官は「個体の様子をよく見ていきたい」と話す。

 

収容されたツシマヤマネコが野生に戻るための訓練をするケージ=対馬市、環境省提供
収容されたツシマヤマネコが野生に戻るための訓練をするケージ=対馬市、環境省提供

 ツシマヤマネコは絶滅危惧種に指定され、対馬島内に生息するのは推定で100頭未満。佐世保市や福岡市、京都市といった島外の動物園でも繁殖を試みているが、たとえ繁殖に成功しても、増えた個体を対馬の自然に戻す技術がないことが課題だった。


 従来の対馬野生生物保護センターがツシマヤマネコの保護・繁殖のための施設だったのに対し、ステーションでは主に野生に戻すための技術を培い、知見を蓄えていくことが目的だ。

 

ケージ内のツシマヤマネコの様子は屋内から確認できるようになっている=対馬市
ケージ内のツシマヤマネコの様子は屋内から確認できるようになっている=対馬市

 環境省によると、ステーションは、哺乳類の野生復帰を支援するために作られた国内で初めての施設。動物への影響を考慮し、施設は原則として非公開としている。


 施設は15年3月に完成した。16年3月からはイエネコ2匹を収容し、施設の設備を確認していた。

 

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