共に創るステージ 障害者と健常者、盲導犬も舞台に!

障害者と健常者や、大人と子どもの垣根を越えて共に創る舞台が上演される。劇団「は~とふる♥はんど」の公演「ありがとう、またね…」は健常者と障害者、盲導犬が舞台に立つ。東京芸術劇場の「なむはむだはむ」は子どもたちの世界を舞台化した。
■盲導犬も出演、信頼しぶつかり合う 「ありがとう、またね…」
「盲導犬と人生をエンジョイしている様子を劇で見て頂きたい」と自身の盲導犬スカイと出演する櫻井ようこはほほえむ。
山辺ユリコ主宰の劇団「は~とふる♥はんど」は障害者と健常者が手話を主体にした芝居やダンスを上演している。劇「ありがとう、またね…」(監修・石井ふく子、作・菊村禮、演出・山辺)は挙式当日に結婚したくないと言い出した目と耳が不自由な花嫁の幸子(ゆきこ)が、盲導犬や周囲に支えられながら幸せを探す話だ。
昨年入団した櫻井は、34歳の時、難病のアッシャー症候群と診断された。難聴を患い、視力は明暗を識別できる程度という。「芝居経験はないんですよ。舞台の立ち位置や奥行きが分かるように共演者の方が導いてくれます。稽古で皆が変わっていく様子を、醸し出す空気の流れで感じていますよ」と挑戦を楽しむ。
稽古を見学した。櫻井演じる花嫁が感情を爆発させる山場で、不安げに演技をする櫻井に共演の藤田朋子が発破をかけた。「芝居は一緒にやるもの。私はあなたを怒らせたり泣かせたりしますから、気持ちに乗っかってきて」。次第に櫻井もほぐれていった。
稽古中、スカイが櫻井と離れる時は落ち着かなくなるので、盲導犬のボランティアがサポートしていた。
劇中で手話もする藤田は「芝居で一番大切なのは信頼関係。全力でぶつかり合います」。
東京・日本橋の三越劇場で25、26日。公演は1部が手話と字幕つきの芝居で、2部が手話ダンスと手話うたのショータイム。5千円。公演は9人の障害者を含む総勢45人が出演する予定だ。03・5453・1960(は~とふる♥はんど)。
(山根由起子)

■子どもの台本×大人のざわざわ感 「なむはむだはむ」
《僕は母からこまごまと買い物を頼まれるが、全く意味がわからない。わかるころには母は死んでいるだろう。ナムハムダハム。》
さあ、どうする。
スタートはそこからだった。40人ほどの子どもが自由に書いた台本を元に、劇作家の岩井秀人、俳優の森山未來、シンガー・ソングライターの前野健太の3人が、一つの作品に仕上げたコドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」が上演される。
1月、子どもたちを招待して、途中段階を見せる発表会が兵庫県で開かれた。約1時間。人がパタパタと死んでいく演目や、髪の毛がトイレから下水道へ流れ、海で流木と恋する「長い毛」などが披露された。大人には不思議な世界でも、子どもは「全員死んだやーん」と大笑いだった。
その日、森山はロープにこだわっていた。死ぬ、殺すとすぐに言えてしまう子どもの無邪気さや不条理なことに対する想像力の薄さと舞台を結びつけたいという。「ロープが天国と地獄をつなぐ蜘蛛(くも)の糸や、音波計に映る心拍数に見えたら面白いかなって」
公演では3歳未満の乳幼児でも自由に入れる日もある。子どものアイデアを元にした、子どもに開かれた舞台だ。とはいえ、子どもに向けた舞台ではないという。「例えば、映画館に2本立てのアニメを見に行って、合間に全く関係ない大人向けのCMが入っちゃっている。不意にえもいわれぬものを見てしまった。そんなざわざわ感を残したいですね」
18日~3月12日、東京・池袋の東京芸術劇場。4500円など。0570・010・296(東京芸術劇場ボックスオフィス)。
(江戸川夏樹)
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