どっしり出迎えます 瀬戸内のネコ駅長「なる」は港の招き猫

客でにぎわう「きたなだ海の駅」で、毛布にくるまるネコ駅長「なる」=徳島県鳴門市
客でにぎわう「きたなだ海の駅」で、毛布にくるまるネコ駅長「なる」=徳島県鳴門市

 漁港のそばに海産物の直売所や食堂がある「きたなだ海の駅」(徳島県鳴門市)で、雄ネコ駅長「なる」の人気が上昇中。買い物や行楽に訪れる人たちを、おっとりと出迎えてくれる。その姿を目当てに、足しげく通う人もいるという。


 なるは、推定4歳の雑種で体重は約6・5キロ。趣味は木登り。鳥を追い回すこともある。


 定位置は、北灘漁協の直売所「さかな市」店頭に置かれている透明なケースの中だ。兵庫県加古川市から訪れた女性(69)は、毛並みに触れて「もふもふで気持ちいい。4歳の男の子にしては、どっしり感がある」。


 客にのぞき込まれて寝たふりをしたり、背中をなでられ、じっと目を細めたり。ネコらしく、「ツンデレ系」のようだ。夕方には、さかな市の中瀬啓子店長が自宅に連れて帰り、朝8時ごろ一緒に「出勤」する。


 なるが現れたのは、2015年9月。護岸の近くにいたところを漁協の松下有宏組合長(58)が見つけた。がりがりにやせて、体重は2キロほど。中瀬さんらとキャットフードを与え、鳴門の一部をとって名前をつけた。


 翌月、一帯が「きたなだ海の駅」に認定された。世話をするのは元気になるまで、と考えていた松下さんは情が移り、なるを駅長に任命して飼おうと提案した。以来、さかな市の来客も増え、16年はのべ14万7千人。「なる目当てのリピーターも多く、招き猫です」と中瀬さんはいう。


 海の駅は、ヨットなどが立ち寄れる拠点を増やそうと、海の駅ネットワーク(事務局=日本海洋レジャー安全・振興協会)が国の支援で全国161カ所を認定している。


 その多くはレジャー用港湾施設で、漁港は珍しいという。北灘漁協の菊川力男参事(42)は「なるには、陸から訪れる人も海から来る人も癒やせる存在として、活躍してほしい」と話す。


(亀岡龍太)


<アクセス>


 きたなだ海の駅は、瀬戸内海沿岸を走る国道11号沿いにある。鳴門駅前から徳島バス引田線で約25分、北灘公民館前下車。車なら神戸淡路鳴門自動車道・鳴門ICから国道11号を高松方面へ約15分。ヨットやプレジャーボートは大浦漁港岸壁に寄港でき、料金は日帰り3千円。予約はさかな市(088・683・8137)へ。

■ピックアップ


「漁協食堂うずしお」(088・682・0037)は、大浦漁港に水揚げされるハマチやカワハギなどを使った漁師料理が売りだ。店内のいけすに泳ぐ活魚をさばき、刺し身や定食を提供する。日によって種類が異なる5種を盛り合わせる「海鮮丼」(800円)、4種類の刺し身盛り合わせ(1千円)などがおすすめ。扶川靖之店長は「北灘の鮮魚をお手頃な価格で楽しんで」。

漁協食堂うずしお
漁協食堂うずしお
朝日新聞
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