新鮮な小魚で猫のおやつ! 高知に移住の女性が地域おこしめざす
高知県中土佐町矢井賀に東京から移住した地域おこし協力隊員が、新たな事業に挑戦している。土佐湾の新鮮な小魚を使い、猫のおやつを作ること。都市部の愛猫家に受けそうなアイデアは県のビジネスプランコンテストで最優秀賞に。17日には試作品作りが行われた。
企画したのは、地域おこし協力隊員の井川愛さん(40)。地方への移住を考えていた井川さんは、東京から中土佐町をたびたび訪れていた。愛猫のオルカ(7)も一緒だった。
オルカは先天的に膵臓(すいぞう)が悪く、キャットフードやおやつには注意を払ってきた。そのオルカ、東京ではスーパーの魚には見向きもしなかったが、中土佐町の魚はぺろり。「この魚でオルカのおやつを作りたい」。井川さんはそう思った。
昨年10月、県などが主催するビジネスプランコンテストに、猫のおやつ作りの企画書「港のネコとおばあちゃんプロジェクト」を提出し、最優秀賞を獲得した。そして、井川さんは愛猫とともに正式に中土佐町に移り住んだ。
土佐湾の魚を使ったおやつは、都市部の愛猫家にも支持されるはず。そう見込んでの事業化に向けて、今月17日、同町矢井賀の集落拠点施設「蜑(あま)の里やいか」で、主婦ら約10人と試作した。
地元で仕入れたマアジ、青アジ、メアジのアジ3種と小型のマダイ合わせて10匹を調理。三枚におろした後、ひとくちサイズに切り分け、グリルオーブンで軽くあぶったものと、燻製機(くんせいき)でいぶしたものを作った。
この日は、猫ではなく、人間だけが試食した。マアジの燻製が「人間が食べるには一番おいしい」と意見が一致。主婦らは「値のつかない小魚や雑魚を活用したい」「土佐備長炭の炭火焼きにも挑戦したい」などと話していた。
今後は、県内外の愛猫家にも試してもらい、飼い猫の食べ具合などを聴き取る予定だ。試作も月に1度は行い、魚の種類を変えながら、評判のよかったものから順に商品化を模索するつもりだ。
「蜑(あま)の里やいか」代表の辰ノ早知さん(67)は「土佐湾の小魚や雑魚が、地域や全国の飼い猫を元気にするというなら、私らもやりがいがあります」。井川さんは「地元の皆さんのご協力をいただきつつ、実現へまず一歩を踏み出せました」と話していた。
(堀内要明)
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