盲導犬連れの男性、ホームから転落し死亡 JR蕨駅
14日朝、埼玉県蕨(わらび)市のJR蕨駅で、盲導犬を連れた男性がホームから転落し、列車と接触して死亡した。視覚障害者の同様の事故は昨年も相次ぎ、国や鉄道会社が対策強化を打ち出した矢先の事故だった。
県警蕨署によると、死亡したのは同県川口市のマッサージ師の男性(63)で、両目が不自由だった。男性は14日午前7時10分ごろ、蕨駅のホームで盲導犬を連れて歩いていたところ、線路に転落し、進入してきた京浜東北線の大船行き普通列車と接触して頭や上半身などを強く打ち、死亡した。
駅の防犯カメラの記録や、接触した列車のドライブレコーダーなどを署が分析した結果、男性は駅の自動改札を通過後、ホームの点字ブロックより線路側を歩行。列車が近付く直前に線路側に一歩踏み出し、転落したとみられる。
転落時、盲導犬をつなぐハーネス(胴輪)は男性の手から離れており、犬はホームに残っていた。当時、ホームはすいており、男性の周辺にはほかの乗客が1~2人いる程度だったという。男性は一人暮らしだった。
JR東日本によると、蕨駅に転落防止用のホームドアは設置されていない。ホームドア未設置の駅での事故防止策について、国土交通省は昨年末、駅員が視覚障害者を見かけたら構内を誘導してサポートするよう、鉄道会社に要請。サポートを断られた場合も、乗車まで見届けることを求めている。同社も駅員が視覚障害者の乗車をできるだけ見守ることにしているが、事故当時、ホームに駅員は配置していなかったという。
(小笠原一樹、平良孝陽)
■鉄道各社、対策途上
駅のホームから視覚障害者が転落して亡くなる事故は相次いでいる。昨年8月には東京都の東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、同10月には大阪府の近鉄大阪線河内国分駅で発生。国土交通省によると、視覚障害者がホームで転落したり列車と接触したりした事故は、2010~15年度に計481件起きている。
全国約9500の駅のうち、転落防止用のホームドアが設置されているのは16年3月末時点で665駅。同省は昨年末、1日に10万人以上が利用する260駅のうち約60駅について、20年度までのホームドア設置を鉄道会社に求めた。JR東日本によると、今回事故が起きた京浜東北線の蕨駅では20年度末までに設置される予定になっている。
(伊藤嘉孝、石山英明)
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