愛犬とお出かけを楽しむには、子犬時代の経験が大切!
年末年始はクリスマスやお正月など楽しいイベントが盛りだくさんな期間です。普段会わない親戚や友人に久しぶりに出会う機会も多いでしょう。犬にとっても飼い主さんとの外出や新しい出会いはとても楽しい時間となる一方、苦痛な時間になることもあります。その違いは犬の気質(生まれ持った性格)と子犬の時期の社会化によります。
社会化とは一緒に暮らす動物との適切な社会行動を学習する過程のことをいいます。生まれ持った気質は変えることはできませんが、社会化を含む子犬の頃からの教育は、犬の性格形成に大きく影響します。
子犬の時期から飼い主とさまざまな場所に出かけ、多くの人とふれあい、楽しい経験をさせた犬は、初めての場所や知らない人との出会いを楽しむことができます。一方、そのような機会がなかった犬にとってはクリスマスパーティーや新年会は苦痛でしかありません。
外出の機会が少なく、人とのふれあいもなく育った犬は、初めて会う人を警戒する成犬に成長します。たとえば春に飼い始めた子犬を社会化のための教育をせずにお正月に初めて実家に連れて帰ったとします。犬にとって初めて訪れる飼い主の実家で、子供が大声を出して近づいて来たり、酔っ払った男の人に触られたり、知らない人に突然抱かれたりしたら怖くてたまらないでしょう。場合によっては怖さのあまりかんでしまうかもしれません。
飼い主にとってはよく知ったご両親や親戚であっても、犬にとっては見知らぬ人です。見知らぬ相手を警戒して逃げたり、無理に触ろうとしたときに歯を当てたりするのは犬にとってはごく自然な自己防衛反応であり、正常行動です。
怖がっている場合は無理に近づいたり、触ろうとしたりしないようにしてください。離れた場所から犬の好物を投げて与えたり、「おすわり」や「ふせ」などの合図を出してそれに反応したら好物を与えたりするなど、犬にとっても楽しいふれあいを心がけてもらってください。
また犬としては正常な行動であっても、人間社会で受け入れられないこともあるため、特に飼い主にとって大切な友人や家族には子犬の時期に紹介しておくべきです。子犬の時期に楽しい経験をした相手は、成犬になってもよく覚えているものです。
犬は家族の一員であると同時に人間社会の一員でもあるため、彼らが生涯幸せに暮らすために人との社会化はとても重要です。犬の社会化にもっとも適した時期は生後3週齢~3カ月齢ぐらいで、この時期を社会化期と呼びます。社会化期には見知らぬ対象にも好奇心旺盛に近づいたり、最初は怖がっていたものでも短時間のうちに慣れることができたりするのが、大きな特徴です。さらに周囲の環境にも柔軟に順応できるため、この時期に将来遭遇する可能性のあるさまざまなものに慣らし、プラスのイメージを作っておくことが大切です。そして成犬になっても社会化のための教育を継続し、犬が生涯人間社会で安心して暮らせるようにしてあげてほしいと思います。
また子犬が社会化期に、同種動物である犬とふれあう機会がないまま成長してしまうと、犬でありながら犬とうまく付き合えなくなってしまいます。本来、犬にとって親しい犬との触れ合いは、その動物種らしい幸せな時間です。したがって社会化期には犬ともふれあう機会を与え、仲の良いお友達を作ってあげてください。社会化期が過ぎても人や犬に慣らすことは不可能ではありませんが、徐々にむつかしくなってくるため、少しでも早くに社会化のための教育をスタートすることをお勧めします。
最近、獣医療においても動物の体の健康だけでなく心の健康に関しての理解が深まり、子犬の社会化のためにパピークラスを行う動物病院が増えています。このパピークラスでは同じような月齢の子犬を遊ばせる時間や参加者同士で互いの子犬に好物を与える時間があり、子犬の社会化に最適です。子犬を飼ったら少しでも早くパピークラスに参加するとよいでしょう。
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