猫がゆったり暮らせる国こそ豊か 夫婦が手作り「ねこ新聞」
「富国強猫(ふこくきょうねこ)」。題字下にそんな4文字を掲げた月刊「ねこ新聞」が今月で200号になった。
猫がゆったりと眠りながら暮らせる国は心が富む国、との思いを込める。新聞は上質の白い紙のタブロイド判8ページ。1面は猫の「名画」と文学作品。中面は猫にちなんだ詩やエッセー、評論が並ぶ。
「いつかは寄稿を」と新聞を送り続ける粘りと猫の魅力で、森村誠一、小池真理子、横尾忠則、林真理子、黒木瞳ら人気作家や著名人が次々と登場する。
創刊は1994年。貿易会社の経営などをしていた夫のひらめきがきっかけだ。暗い情報が多い世の中に嫌気がさし、「なんかほっとできる、粋なものを作りたい」。大好きな「猫」と「新聞」が結びついた。だが、1年ほどで脳出血で倒れ、休刊に。左半身が不自由になった夫を妻が支えて復刊、15年になる。東京都大田区の自宅から全国の購読者約3千人に送付するが、1部400円の購読料だけでは経営は厳しい。最近は寄付を募ってしのいでいる。
「この人とはけんかばかりしてきた」と口の悪い夫が言えば、「最初は猫も文学も好きじゃなかったけど、原口の精神が乗り移っちゃった。金もないのにここまでやってこられたのは奇跡」と妻。広告なしで作ってきた絵本のような紙面は、11月に金婚式を迎えるふたりの愛の結晶そのものだ。
(文・大久保真紀 写真・池永牧子)
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