ゴールデンの災害救助犬グーニー、熊本地震で奮闘

ベレゾフスキーさんと災害救助犬。右はグーニー=愛知県岡崎市
ベレゾフスキーさんと災害救助犬。右はグーニー=愛知県岡崎市

 災害救助犬とともに、各地の被災地や事故現場で救助活動を続けてきた愛知県岡崎市の支援団体が今年で設立20年を迎える。熊本地震でも、倒壊家屋に逃げ遅れた人がいないかどうか嗅覚(きゅうかく)を使って判別する活動を県警と合同で展開した。

「余震が続く中での厳しい活動だったが、救助犬はよく頑張ってくれた」。震度7を観測した熊本県益城町での救助活動に参加した「愛知災害救助犬協会」の理事長でチーフトレーナーのベレゾフスキー・トーマスさん(63)は、ゴールデンレトリバーの救助犬グーニー(雄6歳)をなでながら振り返った。

 ベレゾフスキーさんは1995年の阪神大震災の翌年、妻で事務局長の野口英美子さん(63)と救助犬を使った団体の活動を始め、99年にNPO法人化した。同年の台湾大地震や2007年の新潟県中越沖地震など、国内外の被災地にこれまで24回出動してきた。

 14年には全国の警察本部で初となる「救助犬出動協定」を愛知県警と締結。県内で事故や災害が発生した際、県警が同会に出動要請できるようになった。防災訓練も共同で実施した。

 今回は、ベレゾフスキーさんが本震のあった4月16日、県警に相談して出動を決定。食料や機材を車に積み、野口さんや3頭の災害救助犬とともに約900キロ離れた熊本県に向かった。17日朝から県警の広域緊急援助隊警備部隊と話し合い、益城町で不明者の捜索を開始した。

グーニーに指示を出す野口さん=4月17日、熊本県益城町
グーニーに指示を出す野口さん=4月17日、熊本県益城町

 2日間の活動で不明者の発見はなかったが、グーニーは人がいるという反応を何度か示した。グーニーがほえた先の玄関を県警が機材を使って開けると、そこにはベッドがあった。

 救助犬は人が恐怖や興奮を感じたときやケガをした時に出す臭いに反応する。ベレゾフスキーさんは「(被災者は)本震が来るまで、前震の恐怖を感じながらベッドで寝ていたのだろう」と想像する。

 余震が続くなかでの活動は困難を極めた。たびたび中断し、少し前に近くを通った家が余震後に倒壊し、背筋が凍ったことも。車中で睡眠をとったが、余震のたびに目が覚めた。一方、救助犬は周りの状況に左右されないようトレーニングを受けているため、動揺する様子はなかったという。

 そんな苦労も、「愛知」という制服の文字を見て「遠くからありがとう」と声をかけてくれる益城町の人々の心遣いが紛らわせてくれた。活動はボランティアのため資金難だが、ベレゾフスキーさんは「行ってよかった。今後も活動を続け、一人でも多くの人を救助犬と助けたい」と心から思う。

 県警はこれまでの活躍を表彰して先月、感謝状を贈った。県警幹部は「手弁当でも出動を申し出てくれて助かった。今回で連携も深まったので、今後も協力関係を深めたい」と話す。

(山本恭介)

ベレゾフスキーさんにじゃれつく災害救助犬=愛知県岡崎市
ベレゾフスキーさんにじゃれつく災害救助犬=愛知県岡崎市
朝日新聞
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