「保護犬」「保護猫」「譲渡」 より多く知ってもらうには

(写真は本文と関係ありません)
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 私はペットに関する研究をしています。このように言うと、たいてい「何を飼っているのですか?」と聞かれます。そして「今は飼っていません」と答えると、「え、飼っていないんですか?」と驚かれます。

 なぜ飼っていないのか、その理由は明確です。今は飼うときではないからです。

 2匹の犬との出会いから現在の研究を始めました。犬を飼うことが夢であるように、犬が大好きです。自宅のソファで休んでいるときに、「ここに犬がいたらどんなに幸せだろう……」とよく思いますし、散歩をしている犬と飼い主さんに出会うと「犬が飼えてうらやましい!」と飼い主さんにちょっと嫉妬します(笑)。

 ぬいぐるみの熊が主人公の映画の予告を見た時から、私の大きな犬のぬいぐるみも動いたらいいのに……と本気で思っています。かなり危険ですね(笑)。とにかく大好きなので、だからこそ、飼わないという選択をしています。

 さて、私がペットに関する研究を始めてから10年以上たちますが、そのころから比べると、犬を飼おう! 猫を飼おう! となったときに「里親になる」ということが徐々に浸透してきた気がします。まだ一般的な入手方法とは言えませんが。

 特に最近では、「保護猫カフェ」や「保護犬カフェ」が登場したり、街中で譲渡会が行われたり、保護されている犬猫の情報をネット上で提供したりと、身近に感じられる機会が増えています。ですから、「譲渡」という仕組みを知っている人は積極的に情報を集めます。

 問題は、譲渡を知らない人に知ってもらうためにはどうしたらよいか、でしょう。通常、動物を複数飼育するためには広いスペースが必要です。そのため、動物保護施設は郊外に立地するということが一般的です。しかしながら、郊外にあると残念ながら「目的」がなければその施設を訪問することはあまりない、という問題点があります。譲渡に関心がある人は集まりますが、そうでなければ「知る」という機会はなかなか得られません。

 北海道旭川市は動物愛護センター「あにまある」を2012年に設立しました。施設の老朽化などに伴い、もともと郊外にあったものを、市民が気軽に来庁できるようにと市の中心部へと新築移転したのです。この市の中心部への移転によって、新しい飼い主が見つかりやすくなったそうです。

 施設そのものを中心部に持ってくるのは難しいかもしれませんが、情報発信の場は中心部にあるといいですね。また、以前に野外フェスティバルに行ったとき、犬猫の保護をしている団体がペットの飼育放棄の現状や譲渡の取り組みについてのパネル展示をしているのを見ました。人が集まるところで情報を提供する、しかも動物のイベントではないので、認知度を上げるための方法として実に興味深かったです。

 街中にある「保護猫カフェ」や「保護犬カフェ」、譲渡会が、譲渡の場として機能するとともに、譲渡に興味、関心がある人以外への情報提供の場として機能することを期待しています。

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