「肺がんを見つける犬」ヒント、においでがん判定を研究
犬や線虫を使い、においでがんを見つける研究で知られる医師、園田英人さん(45)が14日、出身地の佐賀市でがん研究について講演した。昨年発表した線虫によるがん判定が、新聞やテレビで報道されて脚光を浴びたが、現在はにおいの元の特定に傾注しているという。
園田さんは同市諸富町出身。自治医科大を卒業後、県内や福岡の病院などで勤務。今月から国立病院機構九州医療センター(福岡市)で消化管外科医長として働く。佐賀市出身という縁で、NPO法人高遊外売茶翁(こうゆうがいばいさおう)顕彰会が「佐賀おもしろ学講座」の講師に招いた。
園田さんは、がん克服には早期発見・治療が欠かせないとして積極的ながん検診を勧めたうえで、自身の研究について説明した。
呼気で肺がんを99%の精度で探知する犬のことを論文で知り、においでがんを見つける研究に着手。がん特有のにおいがあることを確認したが、犬では能力や集中力で精度が変わる難点があった。
線虫に目をつけたのは偶然だった。5年ほど前、サバにあたった患者を診た。線虫の一種で、寄生虫のアニサキスが胃壁のがん細胞に食いついていて胃がんを早期発見できた。「偶然ではない気がして」、調べたら、寄生虫ががんの局所に潜り込んだ例を多数見つけた。
実験を進めて、線虫が、がん患者の尿に近寄り健康の人の尿から遠ざかることを確認し、昨年発表した。線虫が好むにおいでも、においが強すぎると避けることもある。線虫の日齢や満腹度などで、においに対する行動が左右されることもわかった。園田さんは「生物を使うのは難しいので、においの元の物質を探す方に研究をシフトしている」と説明。特定できれば手軽で低コスト、しかも高精度な検査法の開発につながる。「1、2年で特定したい」とめどを話した。
(宮田富士男)
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