「お墓でペットロスを癒やして」 ペット墓石の専門店

石材加工場に立つ中谷和代さん(右)。夫の和則さんが切った石を和代さんらが磨いて墓石を造る=高松市
石材加工場に立つ中谷和代さん(右)。夫の和則さんが切った石を和代さんらが磨いて墓石を造る=高松市

 花崗岩(かこうがん)のダイヤモンドといわれ、墓石の材料としては最高級とされる庵治(あじ)石。その庵治石が採れる石の里、高松市牟礼町に昨年6月、ペットの墓石専門店「メモリアル・プロストーン」をオープンした。
 

 店長を務めるのは中谷和代さん(54)。地元で石材加工会社を営む夫・和則さん(54)の加工場で墓石の仕上げの磨きを手伝っていた。ペットの墓石専門店を開いたのは、飼っていたネコと犬を相次いで失ったのがきっかけだった。
 

 3年前の夏、それまで元気だったネコ「チョコ」が、突然体調を崩した。病院に連れていくと、「外でなにか悪いものを食べたのでは」。結局原因はわからず、1週間で死んでしまった。
 

 犬の「チロル」は、数年前に脚に腫瘍(しゅよう)ができていて先が短いのは覚悟していた。しかし、元気だったチョコの死はショックだった。「外に出さなければよかった」「ほかになにか手当てはできなかったのか」。後悔と自責の念で気持ちは沈みがちになった。
 

 チョコが死んだ翌年1月、犬のチロルも死んでしまう。2匹がいなくなると、家の雰囲気は暗くなった。「元気にならないといけない」。そう思っても、ふさぎがちだった。
 

 1年がすぎた昨年1月、いつものように加工場から戻り、食事の準備をしていると、家の裏手から生き物の鳴き声が途切れとぎれに聞こえてきた。かすかな声が気になり、家の裏の車庫をのぞいてみたが、真っ暗でなにも見えない。帰宅した夫の和則さんが、弱々しい鳴き声をたよりに車庫の中の荷物をどかしてさがすと、奥に小さな犬がいた。
 

 寒さに震える子犬を抱き上げ、新しい家族として育てることにした。「レイト」と名づけた。家に明るさが戻る。一方で和代さんの心の中には、チョコとチロルのことを忘れない、という気持ちが強まっていたという。
 

 ちょうどこのころ、和則さんは会社の進むべき方向に悩んでいた。安い外国産に押され、主力の墓石の販売は落ち込んでいた。墓石の小売りに力を入れるか。それとも、なにか新しいものを造るか。ペットの墓石も考えていたが、需要があるのかわからず、踏み切れずにいた。
 

 そんなとき、レイトと出会った。ペットの墓石を造り、売る。その方向に、2人とも背中を押された。
 

 花や線香、ろうそく立ても付け、庭に置くことを想定した墓だけでなく、部屋やベランダに置けるサイズもそろえた。室内置きの一番小さな製品の名は「証(あかし)」。死んだチョコとチロルを忘れない。一緒に時間を過ごした証しにしたい。そんな思いを込めたという。
 

 和代さんは「ペットロスに陥ったとき、ペットのお墓を造ることで区切りをつけることができる。身近に置けば、いつでも線香をあげることができる。ペットの墓を造ることで、失って悲しんでいる人の役に立ちたい」と考えている。

 

(渡辺翔太郎)

 

 

室内に置けるペットの墓石「証」
室内に置けるペットの墓石「証」

 

「メモリアル・プロストーン」は和則さんが経営する石材会社の一部門として昨年6月にオープン。
オンラインショップで注文を受け付けている。  高松市牟礼町牟礼(電話087・845・7428)。
朝日新聞
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