「猫バンバン」運動 発信企業・日産自動車の意図は

日産自動車の国内公式ツイッターが発信した「#猫バンバン」のツイート
日産自動車の国内公式ツイッターが発信した「#猫バンバン」のツイート

「猫バンバン」という言葉をご存じでしょうか? 自動車に乗る前に、ボンネットをたたき、暖を求めて車のエンジンルームやタイヤの隙間に入り込んでいる猫に知らせる方法です。

 20年ほど前になりますが、私の知人が冬に車のエンジンをかけたら、ボンネットの中から猫の声がして慌てて動物病院に連れて行った――という話を思い出しました。

 この猫バンバンという活動を推進しているのは日産自動車です。これまでに非営利団体による「どうぶつの命を守ろう!『ボンネットコンコン』キャンペーン」という活動はありましたが、なぜ企業がこのようなプロジェクトをやるのか、考えたいと思います。まずは日産自動車の取り組みを公式サイトを中心に少し見ていきます。

 日産自動車では、2015年11月に公式ツイッターにて「#猫バンバン」を発信後、さらなる認知拡大を図るため「#猫バンバン プロジェクト」を開始。1月26日には特設サイトを開きました。ツイッターやFacebook、特設サイト、YouTube(#KnockKnockCats)での情報発信のほか、オリジナルマグネットステッカーを作り、配布しました。現在は、ロゴを無料でダウンロードできますので、ステッカーを自作する人もいるようです。

 さて、この「#猫バンバン プロジェクト」は、企業発信のプロジェクトというのがポイントだと考えています。少し話題を変えましょう。

 携帯電話会社のNTTドコモは公式サイトで「全員歩きスマホ in 渋谷スクランブル交差点」という動画を2014年3月に公開しています。この動画では、渋谷のスクランブル交差点を横断する人が全員歩きスマホだったら……と仮定し、衝突や転倒の件数とともに、信号が青の間にどのくらいの人が横断に成功するのかシミュレーションし、「危険です、歩きスマホ」と歩きスマホの注意喚起を行っています。

 また、YouTubeで公開されている「歩きスマホ参勤交代」では、大名行列の武士たちが歩きスマホをしていたら……と、こちらも歩きスマホの危険性を啓発する動画となっています。

 現在、特に駅ではホームへの落下やほかの人にぶつかることでトラブルになることもあり、「歩きスマホはやめましょう」といったアナウンスが繰り返されていますが、携帯電話会社では自社が提供する商品である「スマホ」により、事故やけがを招いたり、トラブルの原因になることを防ぐために「歩きスマホはやめましょう」と訴えています。

「#猫バンバン プロジェクト」はどうでしょうか。特設サイトには、次のように書かれています。

#猫バンバン それは、ちょっとした思いやりで救える命
寒くなると街の猫たちがエンジンルームやタイヤの間に入ってしまうことがあります。
気づかずにエンジンをかけてしまった…そんな悲しい事故を防ぐのが、猫バンバン。
猫も人も安心して過ごせる社会のために、日産はこのアクションを応援していきます。

(特別サイト「#猫バンバン プロジェクト」より)

 つまり、携帯電話会社が歩きスマホの危険性を訴えるように、日産自動車は自社が提供する商品である「車」によって悲しい事故が起きないように猫バンバンを呼び掛けていると理解できます。だから企業発信なのですね。

 さて、日産自動車による「#猫バンバン プロジェクト」ですが、ホンダやスバル、フィアット、ボルボなど、いわゆるライバル企業も応援しています。自動車や消費者である人間の安心だけではなく、猫の安心も守ろうとライバル企業が協力する姿勢に暖かさを感じます。

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