パリ・コレ猫だらけ ロエベ、グッチ……癒やしを提案?
開催中の2016年秋冬パリ・コレクションで、猫やネコ科の動物のモチーフを多くの人気ブランドが取り上げ、さながら「パリ・コレに猫大発生」の様相を呈している。
(末尾にフォトギャラリーがあります)
若手デザイナーによる斬新な作風で人気上昇中のロエベは、革製の猫のお面風ネックレス。ドリス・ヴァン・ノッテンやエルメスの靴のコレクションには、プリント柄でヒョウやチータの姿が描かれていた。東京発のアンダーカバーの服にも、のんびりとした様々な猫の姿態がプリントされている。
先行したミラノ・コレクションでも、グッチの“自称パンサー”や、ドルチェ&ガッバーナの飼い猫風の絵柄が印象的だった。
「猫起用」のブランド側の理由は様々だ。「成熟し洗練された現代女性に必要なものとして」(ロエベ)、「テーマにした1920年代の伯爵夫人のペットだったから」(ドリス・ヴァン・ノッテン)、「今後のブランドの方向性として動植物のデザインが重要なモチーフになるのでその一環として」(グッチ)――。
パリやミラノのコレクションで、ひとつの動植物がここまでの頻出トレンドになることは最近では珍しい。背景には、ネットの普及によりファッションのサイクルがますますスピード化する中で、「リラックス」をテーマにするブランドが多いことが考えられる。
日本でも猫ブームが続くが、ペットとして犬派より猫派が多くなっているのは多くの先進国に共通の傾向といい、猫の自由きままな姿を映すネット動画を見る人も急増している。
「パーフェクト・デイ」(完璧な日)をテーマにしたアンダーカバーのデザイナー高橋盾は「伝えたかったのは、もっとリラックスしようということ。猫柄は過去にも出していたけれど、今回は特に多くなってしまいました」。
また、ファッションショー(の舞台)を意味する「キャットウォーク」との語呂合わせをしたのは、仏アレクシー・マビーユ。先のニューヨーク・コレクションで話題になった「ショーの後にすぐ新作を売る流れ」など、今後のキャットウォークの在り方が議論される中でのちゃかし、と取れなくもない。
とはいえ、今回の猫の大発生(繁殖?)は、テロや難民問題、格差社会の広がりや気候変動など社会問題が山積する中での、とりあえずの、ちょっとした癒やしのための提案であることは間違いなさそうだ。
(高橋牧子)
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