ネコノミクスに猫男子、猫ヨガ……空前の猫ブームに懸念も

 2月22日。さて何の日でしょうか?

「ふー、ふー、ふー」おでんの日?

「にん、にん、にん」忍者の日?

「にゃん、にゃん、にゃん」猫の日?

 このコラムを読んでくださっているみなさんにとっては、最後が一番しっくりくるでしょうか。そう、2月22日は猫の日でした(ちなみに「世界猫の日」は8月8日だそうです……)。

 現在は空前の猫ブームといわれ、猫の本や写真集、雑誌、映画、テレビCM、ドラマ、ゲーム――と、猫は引っ張りだこです。私もスマホゲームアプリ「ねこあつめ」にはまりました。ごはんを置いたらすぐに来るわけではなく、いつ来るのかわかりません。でもたまにアプリを開くと、自分が置いたおもちゃで遊ぶ姿や寝る姿を見られ、それで癒やされていました。猫専用の、猫が自撮りできるカメラアプリも話題になりましたね。

 アベノミクスをもじった「ネコノミクス」(猫人気に伴う経済効果)や「猫男子」(猫と暮らす若い単身男性のこと)という言葉も出てきました。サービス関連では、猫カフェ以外にも、猫と一緒にヨガをする猫ヨガ、猫付きシェアオフィスに猫付き賃貸、猫付きシェアハウスと「猫が付いてくる」ということが、これまでにない特典になっています。

 企業のツイッターのアカウントも、猫の日に合わせて変えられていました。例えば、パインアメで有名な「パイン」はパインニャメ、体重計でおなじみの「タニタ」はタニャタ、文房具でおなじみの「キングジム」はキングにゃム……。キングジムは、ツイートも猫語になっていました。

「オフィスでおにゃじみの『テプニャ』だにゃ。いまの『テプニャ』はフォントや絵文字がとっても豊富にあるにゃ」(キングジムのツイート)

 小売店でも、猫がデザインされた商品を集めたコーナーを設けるお店もみかけるようになり、猫の日には、限定で猫の商品を販売するところもありました。

「楽天」でも、楽天市場では「猫の日特集」を、楽天トラベルでは2016年度版「看板猫ランキング」を発表しています。このように盛り上がる猫ブームの中、「犬だって」という特集が組まれた雑誌「BRUTUS」が3月1日に発行されたのは実に興味深いです(もちろん、買いました!)。

 ペットフード協会の調査によると2015年の推計飼育頭数は犬が991万7000頭、猫が987万4000頭で、犬の飼育頭数は減少傾向にあるのに対し、猫の飼育頭数は横ばいの状態が続いています。近い将来、猫の飼育頭数が犬を上回ると予測されていますが、この猫ブームについて、「本当は犬が飼いたいけれど仕事が忙しく散歩の時間が取れない」、「高齢だから、今はいいけれどこれから先、散歩に連れていく自信がない」などの理由から「犬を飼うのは難しい。でも猫なら飼えるかも?!」と自分のライフスタイルを考慮し、飼育する動物を選択しているという流れであれば、いい傾向だと考えています。問題なのは、自分のライフスタイルを考えずに「○○という動物が好きだから飼う」という安易な選択です。

 企業にとって追い風である猫ブームですが懸念もあります。これまでに、犬は特定の犬種に人気が集まるというブームが何度かありました。2000年ごろのチワワブーム、その後のティーカッププードルブーム。ゴールデンレトリバーやシベリアン・ハスキーもかつてブームになりました。

 その結果、ブームになったから飼ってみたものの、飼育できず飼育放棄される――という問題が起きました。チワワがブームになっていたころに動物愛護センターを訪れた際、チワワが多くいたことを覚えています。

 また、大流行、すなわち爆発的な需要の増加に対応するため、健康状態を無視した繁殖が行われ、その結果、病気や障害を持った犬や体の弱い犬が販売され、「飼った犬が病気だった」「買ったのにすぐに死んでしまった」という悲しい問題も起きました。

 太田匡彦さんの猫ブームを危惧されたコラム「猫ブームの危うい側面 犬の二の舞いを踏むな」にもありますが、犬の生体販売ビジネスと同様の問題が猫でも起きる可能性は否定できません。同じ問題が起きないよう、消費者も賢い選択をすることが求められているのではないでしょうか。

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