うさぎの体の不思議 こんなにある品種

 第3回は「うさ飼いさん」が、うさぎにのめりこんだ理由といってもよいうさぎの体の特徴や品種についてご紹介します。(うさぎと暮らす編集部)


うさぎの体

 うさぎの飼い主さんでもなかなか見るのはむずかしいかもしれませんが、うさぎの前歯の裏には「門歯(切歯)」が2本生えています。これが認められておらず、かつてうさぎはリスやネズミと同じ「げっ歯類」「げっ歯目」に分類されていました。しかし20世紀に入って門歯が発見され、「ウサギ目」として分類されるようになりました。うさぎは単独の科目で、仲間はいないことになります。

 うさぎのビジュアルは、やはり長い耳であることが大きな特徴です。自然環境下において、空からも地上からも常に狙われているうさぎは、長い耳でさまざまな音を感じます。深い眠りに陥ることなく、周囲に気をはらい、敵の接近に気づくと、発達している脚を使って、まさに脱兎となって身軽な体(含気骨という空気を多く含む骨で構成)で俊敏にその場を立ち去ります。

 クリクリと突出した目は、夜行性であるため、視力はあまりよくないとされ、頭の両端についているので広く視野を持っており、真後ろ以外は見ることができます。鼻をヒクヒクとさせているのも印象的ですが、鼻は上部の皮膚を可動させて下にある鼻孔を開閉させています。前脚、後ろ脚の裏には肉球がなく、毛におおわれています。これには、肉球をすべり止めにして音をたてずに獲物に近づく捕食動物ではないので肉球を必要としないという説や、土や草の上など平坦なところを走っていたから必要がないなどという説があります。フワフワとしたしっぽは丸いように見えて、伸ばすと意外と長いのです。

 なお、うさぎの胃腸についてもご紹介しなくてはならないことがありますが、また機会を作ります。

 

ウサギ科

 ウサギ目はナキウサギ科とウサギ科に分類され、ウサギ科にはノウサギ、アナウサギ、アマミノクロウサギなど一般的なうさぎのすべてが属しています。なお、日本ではうさぎを総称して「ラビット(rabbit)」と呼びますが、ラビットはアナウサギのこと。ノウサギは「ヘア(hare)」で、分類が異なります。


ノウサギ(カンジキウサギ)
ノウサギ(カンジキウサギ)


 ノウサギ属は20種類以上おり、国内にもエゾユキウサギ、トウホクノウサギ、ニホンノウサギ、キュウシュウノウサギなどが生息しています。草原や森林で暮らし、敵から身を守るため、保護色として毛色を夏は茶褐色、冬は白色に変化させます。天敵から身をひそめて極度のストレス下で暮らしていることから寿命は3年前後と言われています。ノウサギは生まれた時から目が開いていて被毛もあります。巣穴は作らず、安全なところを探して暮らします。


アナウサギ
アナウサギ


 一方、アナウサギは生後2週間くらいまで目が開いておらず、毛も生えていません。群れで暮らし、「ワーレン」と呼ばれる巣穴を作って出産をします。ノウサギより体が小さく、前脚が短いのが特徴です。ウサギ科アナウサギ属はアナウサギの一種しかいませんが、現代でペットにされているうさぎはアナウサギをペット用に改良したカイウサギです。

 前回お話ししたように、カイウサギはアナウサギの習性を残しているため、お家の中で床をホリホリしたり、マーキングをしたりすることがあるのです。


 

うさぎの品種

 現在ではカイウサギはさまざまな品種があり、ペットウサギとして世界中の人に親しまれています。ペット先進国であったアメリカでは、1910年にうさぎのブリーダーによる協会、「ARBA(アメリカン・ラビットブリーダーズ・アソシエーション)」を発足し、長い年月をかけて品種の管理や血統の登録、ラビットショーなどを行い、純血品種を生み出しています。

 日本でもうさぎ愛好家が足を運び、こうしたうさぎを輸入するなどして、1990年代には、国内にうさぎ専門店やアメリカンラビット専門店が誕生し始めました。

 それまではうさぎと言えば日本白色種(白いボディーに赤い目)のうさぎやミニウサギ(ミックス)がポピュラーでしたが、ネザーランドドワーフやホーランドロップなどの純血品種が扱われるようになりました。それまでのうさぎと比べると格段と高価でしたが、愛好家にとっては待ち望んでいたことでした。

 うさぎの飼育方法も、こうしたうさぎ専門店が提案する、庭の小屋から住居の中でケージへと移り変わり、コンパニオンアニマル(伴侶動物)として人と共生するスタイルに変わり、うさぎに適した用品やフードも続々と開発されるようになりました。

 現在ARBAでは公認種が48品種あり、このうち国内のうさぎ専門店で扱われているうさぎは主な品種は下記の通りです。純血品種は長毛種、短毛種、ボディーのカラーや目の色がバリエーション豊かなことが魅力です。現在は国内にて、アメリカからジャッジを招待してブリーダーのみならず、一般のうさ飼いさんも参加できるYBRC(横浜ベイラビットクラブ)、NRC(NIPPON RABBIT CLUB)が主催するラビットショーが行われています。

 

うさぎの主な品種

〇ミニウサギ(ミックス)(体重:さまざま)いろいろな品種の血統が入っている
〇ネザーランドワーフ(体重:約0.9~1.1㎏)短い耳にコンパクトな体
〇ダッチ(約1.5~2.5㎏)ツートンカラーが自慢。パンダうさぎではない
〇ジャージーウーリー(約1.3~1.6㎏)美しく長い被毛を持つ。ネザーとフレンチアンゴラを交配して作られた
〇ミニレッキス(1.9㎏くらいまで)ベルベットのような美しい被毛
〇イングリッシュアンゴラ(2.3~3.4㎏くらい)全身が長毛におおわれている。アンゴラでは一番小さな品種
〇ヒマラヤン(約1.5㎏)目が赤く、鼻先、耳、四肢の先端、尾に黒毛がある以外は白い。
〇ドワーフホト(1.4㎏くらいまで)目の周りのアイバンドが特徴
〇ホーランドロップ(1.8㎏まで)オランダで作られた小さな垂れ耳うさぎ
〇アメリカンファジーロップ(約2.3~3.4㎏)ホーランドロップを改良した毛の長い小さな垂れ耳うさぎ
〇イングリッシュロップ(4㎏以上)長い耳を持つ大型の垂れ耳うさぎ
〇フレンチロップ(4~5㎏くらい)フランスで作られた大型垂れ耳うさぎ
〇ライオンヘッド(約1.5㎏)顔の周りにライオンのようなたてがみがある
①ミニウサギ ②ジャージーウーリー(おしりちゃん、けまりちゃん) ③ネザーランドドワーフ(ナナリーちゃん) ④ダッチ(うさぎのしっぽ) ⑤ドワーフホト(おじさんのうさぎ村) ⑥ホーランドロップ(はねるちゃん)
①ミニウサギ ②ジャージーウーリー(おしりちゃん、けまりちゃん) ③ネザーランドドワーフ(ナナリーちゃん) ④ダッチ(うさぎのしっぽ) ⑤ドワーフホト(おじさんのうさぎ村) ⑥ホーランドロップ(はねるちゃん)

 

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