イヌ・ネコの健康医療相談

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ちょろ(質問主)


犬アイコン 犬 10歳 メス プードル(トイプードル)

体重:3.4kg

飼育歴:9年9ヶ月

居住地:北海道日高郡新ひだか町

飼育環境:室内

・経緯
7月下旬からご飯をあまり食べない日がでてきました。ただ、餌の種類を変えたタイミングとも重なり、元の餌に戻すと食べるようになりました。
今年の8月12日頃からドッグフードは食べなくなり、ささみの茹でたものなど、自分の好きなものしか食べなくなりました。お盆中は病院がやっていなかったため、8月17日に初めて受診したところ膵炎という診断で、即日入院となりました。
その後、薬の量も増やすなどし21日にはLIPの値も下がり、測定値をオーバーしていたCRPもまだまだ高いですが7まで下がりました。
この時には合併症などの症状もなく、早ければ火曜日くらいに退院と言われていました。
しかし23日になるとLIPの値は下がっていたのですがまたCRPが7<となり、胆管、胆嚢に腫れがあり、十二指腸のあたりにも炎症がでていると言われました。熱もあり、黄疸もでていました。
胆管が狭くなっているというようなことも説明してくださいました。

・現在の状況
熱が上がったり下がったりを繰り返している。
内科的治療を続けていますが、胆管、胆嚢の炎症は治まらず、CRPも高いままです。昨日から白血球の数も増えています。

・獣医師の説明
具体的な薬の名前は分かりませんが、胆管、胆嚢の炎症をよくするため、薬を変えたり治療を続けてくれています。
他のところに原因がないか毎日超音波検査しているが他に異常は見られない。
本来、抗生物質で治療できる症状なのに、なぜこんなに薬が効かないのか…と先生も頭を悩ませている様子でした。昨日から新しい薬にさらに変えて治療してくださってます。これで結果がでなかったら厳しいということを言われています。

・何を相談したいのか
なぜ薬が効かないのか、今はどういった症状なのか具体的に教えていただきたいです。
炎症反応を下げるためにはどうしたら良いのでしょう。年齢も考慮すると、外科的な治療はリスクもあり難しいかなと考えています。

日時2021-08-28 11:21:09

専門の獣医師からの回答

10歳のトイプードルが膵炎による肝外胆管閉塞で治療の反応が悪いことについての質問についてお答えします。
まず,膵酵素であるリパーゼの上昇,炎症反応の存在を示すCRPの上昇,さらに黄疸(高ビリルビン血症)の発現やエコー検査での総胆管閉塞の疑いが指摘されているとのことですので,肝外胆管閉塞(EHBO)による閉塞性黄疸の病態であることはほぼ間違いないかと思います。

膵炎の症例は,腸炎や胆管炎を併発することも多く,重症例では肝臓から腸管へ胆汁という消化液を排出する総胆管周囲への炎症の波及により,総胆管の圧迫や狭窄が起こり,閉塞性黄疸を発現します。
膵炎や腸炎の治療は,内科的治療が中心であり,細菌感染に対する抗生物質の投与,嘔吐の抑制,疼痛の緩和,点滴による体液管理の徹底,必要により抗炎症剤の投与,さらに食事の脂肪制限などが基本となります。治療経過は症例により様々で,特に慢性膵炎や慢性腸炎が基礎疾患である場合には,難治性であることも少なくありません。

質問の回答にもつながりますが,難治性の症例に対しては以下の3つの点を考慮する必要があります。

1つめとして,閉塞性黄疸が認められる本症においては,胆管内や胆嚢内で細菌が増殖する胆汁感染を合併している可能性が極めて高いと思われます。
細菌感染には抗生物質が特効薬なのですが,病態によって抗生物質が著効しない場合があります。
その原因としては重要なのは,感染している細菌に対する抗生物質の感受性の問題があります。
胆汁感染の起炎菌は大腸菌や腸球菌などの腸内細菌が一般的なのですが,しばしば抗生物質に対して耐性を示し,感受性のある抗生物質を投与することが極めて重要となります。
難治性で治療に反応が悪い場合には,胆汁採取を行い,細菌感染の有無を検査すると共に,胆汁培養により起炎菌を特定し,感受性試験により,有効な抗生物質を特定することが必要となります。

2つめの問題は,肝外胆管閉塞の病態下では胆嚢内や胆管内に抗生物質が十分に排泄されないことがあります。
重度の肝外胆管閉塞を起こしている患者では本来の胆汁排泄ができない状態となっていますので,有効なはずの抗生物質が胆汁中に排泄されず,その結果抗生物質の効果が得られません。
このような患者では,黄疸を緩和させる治療とも共通するのですが,胆嚢穿刺や胆管ドレナージなど何らかの方法で胆汁を強制的に排泄し,肝臓の胆汁排泄を補助します。
この治療は極めて有用かつ病態によっては必要不可欠となるですが,極めて専門的な処置であるため,専門病院以外での実施は難しいかもしれません。

3つめの問題は,胆石や粘液などが総胆管閉塞に関与していなかどうかの問題があります。
犬の胆石は人ほど多くありませんが,膵炎や腸炎を有する患者では,しばしば胆石や胆砂が認められます。確認の方法は,エコー検査とX線検査が中心となりますが,専門的病院ではCT検査で確認します。
もし今回の肝外胆管閉塞(閉塞性黄疸)に胆石が関与している場合には,内科的治療のみで胆管閉塞の解除が難しい場合もあります。

以上ですが,専門的な内容でオーナーの方には少し難しい説明になったかもしれませんが,10歳という年齢は人では50歳台ですので,寿命にはほど遠い年齢です。
膵炎の治療は一進一退で慢性化することも多いのですが,閉塞性黄疸が悪化すれば致死的となりますので,この回答文を主治医の先生に印刷してみせてあげることで治療に役立てて頂ければと思います。

日時2021-09-05 07:59:24

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