イヌ・ネコの健康医療相談

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シャラチノ(質問主)


猫アイコン 猫 14歳 オス 雑種

体重:4.3kg

飼育歴:12年7ヶ月

居住地:東京都千代田区

飼育環境:室内

お世話になっております。

てんかん持ちの猫について、
いくつかご助言お願いしたく投稿致します。

当方、海外に住んでおりまして、
こちらの猫医療が、日本とはかなり異なる点が多いと
思いますが、ご了承ください。

主治医もちろん尽力してくれておりますが、
なにせ、専門医がおらず、主治医ともども手探り状態です。
ご経験豊富な先生方のご指導頂ければ幸いです。

以下、長文となりますが、
どうぞ、宜しくお願いいたします。

1)虚勢済み、雄、2007年生まれ。

2)てんかん発症
①2017年11月10日前後
 【当初の発作の形態】
 睡眠時などに、急に口をくちゃくちゃし始め、同じ方向にびくびく・ぴょんぴょん跳ねるような動きを見せました。
 右目や口がぴくぴく動く⇒くちゃくちゃ⇒同じ方向にぴょんぴょん、ぐるぐる跳ねるような動き。
 1分以内には収まり、発作後は決まって食欲が増進し、ご飯を欲しがりました。

 即、動画を撮影し、かかりつけに相談しましたが、口内トラブルなし、ということで、 様子見となりましたが、その後も収まらず、1日1回だった「発作」が2度、3度と群発的に起こるようになり、再度かかりつけで血液検査、X-lay、超音波などの検査をしてもらい、異常なしで、 念のため、フェノバルビタール2mg/kg/BIDを処方されました。

 その後、11月26日1時間置きの発作が夜通し起こり、
 11月27日に本土にある画像専門病院にてMRI、脳髄液検査などを行いましたが、「異常なし」と判断されました。

 ただ、てんかんか、FHSか区別がつかないので、フェノバビタールを中断するように言われました。
 ※素人判断ではありますが、FHSではないのではないか・・・と何度も相
  談したのですが、
  意識がある(?)ので・・・ということで、当時は不明とされまし
   た。

②2017年12月
 フェノバビタールを中断して1週間後、全身・硬直の発作が起こりました。
その後、PBの濃度が45μg/mlで、一時は安定したのですが
減薬するとまた発作が起こり、一度発作が始まると、群発的に起きたり、
数日間隔に起きたりしました。

2018年 年間発作回数 47回
2019年6月までの発作回数 11回

3)発作について
発作は、顔の一部(主に右側の顔、口周り)の違和感から、くちゃくちゃと涎をたらし始め、それが酷くなると、硬直の発作がおこります。
睡眠時に起こります。音や光に誘発されることはなかったように思います。
発作の持続時間は1分程度です。
発作後は、即ご飯です。
発作が起こりそうだな・・・と思うときは、機嫌がよさそうな時でです。
(おんぶしてとか、おもちゃで遊びたいとか、毛布を持って行ってふみふみしたいとかです)
満月前、気圧変動が激しい時なども、要注意でした。

4)今までの投薬の流れ
・フェノバビタールが第一選択でした。
 フェノバビタールの血中濃度が45μg/mlだったにもかかわらず、それ以下に下げるとまた発作が起こってしまったので、追加薬剤が色々試されました。
・ガパペンチン追加投与で、発作が酷くなり中止。
・ゾニサミド追加投与で発作は収まりましたが、食欲及び尿比重の著しい
 低下により中断。
 (ゾニサミドでの食欲は20%以下に下がり、体重が20%弱の減少、尿比
 重は健常時1.048前後だったのが、1.025まで下がりました。ゾニサミド中
 断後、尿比重は戻りました)
・フェノバビタール投与による食欲増進などはなく、発症当時5.8kgあっ
 た体重は、現在4.3kgまで下がってしまいました。
 発作が起きているときは、食欲があるのですが、発作が抑えられている
 ときは、食欲がでません。
・2019年からはレビチラセタムを併用し、2019年6月から約1年間、発作は
 収まっておりました。
・ただし、フェノバビタールの血中濃度が、2019年11月で71.5μg/mlで、腰
 砕けなどの症状がありました。
・フェノバビタールの減薬は、通常通りの20~25%減はできません。どの
 数字の減薬を行うと、必ず発作が起きてしまいます。なので、月に1度ぐ
 らいに0.5mg~1mg/Dayずつと、ほんの少量ずつ減薬してきました。
 今年の6月のフェノバビタール濃度は65μg/mlと依然高値で、更なる減薬
 を進めている所で、1年ぶりに発作が起きてしまいました。
・フェノバビタールは、1日2回の投与では効かず、レビチラセタムと共に1
 日3回の投与を続けていました。
・発作が起きてしまったフェノバビタールの濃度は、21.5mg/Day(6月9日
 から)。
 発作は6月14日 から現在まで2日おきに起きています。
・減薬する前は、フェノバビタール22.5mg/Day(+LEV420mg/Day)です。
・血中濃度65μg/mlの段階で、血液検査ではALP(38-165)175、GPT(22-8
 4)74で、高値です。
 超音波検査などでは異常はないとのことですが、食欲不振は続き、体重
 が4.3kgとなってしまったので、身体の負担を少しでも減らしたいと思
 っております。

5)2020年6月現在
 フェノバビタールの血中濃度が高値であっても、減薬が難しいので、ジ
 アゼパム錠を追加投与することになりました。
 ジアパゼムが、病院になかったので、取り寄せるのに時間がかかり、
 その間、発作を抑えるために、フェノバビタールの濃度を上げました(それでも、発作は2日おきぐらいに起きています)

 現在 PB27mg/Day,LEV420mg/Day :3回に分けて投与していま
 す。

主治医は、ジアゼパム錠を猫に投与するのが初めてだそうです。
肝障害が懸念されるので投与したくないとのことでしたが、試してみる薬剤がこれしか残っていないので、3剤目として採用することになりました。

6)質問
① ジアパゼム錠経口投与の場合、推薦される用量はどのぐらいでしょうか。あと1日何回ぐらいがベストでしょう?血中濃度はどのぐらいを目安にすればよいでしょうか。
主治医からは0.25mg/kg/TIDで初めてみようと言われています。
その他、ジアゼパム投与についてのご説明やアドバイスがあればお願いいたします。

②ジアゼパムの血中濃度は必ずチェックしておいた方がよいでしょうか。
こちらの国に、ジアパゼムの血中濃度を検査できる機関がないかもしれなくて、日本に送らなければならないかもしれません。

③フェノバビタール濃度が十分なのに、発作が収まらないという症例は多々あるのでしょうか。
個体により違うので、一概にお答えにくいとは思いますが、こういう場合、どのような攻め方があるでしょうか。

④ てんかん発症当初のMRI所見で、特別な異常はなかったとされましたが、脳下垂体が若干大きいとのことでした。その後画像検査はしておらず、ACTH検査だけしてみましたが、異常なしでした。(写真添付)
ご意見伺いたく存じます。

⑤ ある本で、「群発発作を制する方法」は、LEVを20mg/kg/TIDで発作が48時間収まるまで投与する方法があると書いてあるのを見たのですが、うちの猫の場合は、すでにLEVは投与しております。
このような場合、今後群発発作などが収まらなかったりした場合、どういう方法がありますでしょうか。

④13歳の猫ではありますが、まだまだ何とか長生きしてもらいたいと思っております。
どんな些細な事でもいいので、投薬についてのアドバイス、減薬についてのアドバイス、などなどございましたら、どうかご助言お願いいたします。

*見づらいかもしれませんが、検査結果などをまとめておいたのを添付いたします。参考になれば良いのですが・・・。

日時2020-06-25 12:24:28

専門の獣医師からの回答

詳細な記載、ありがとうございます。この猫ちゃんに必要な鑑別は、てんかん発作と心疾患からの発作と考えます(FHSが何かわかりませんでした)。
通常、心疾患からの発作は、聴診器でもわかる程度の心雑音からホルター心電図検査で長時間記録していないと現れないものまで、幅広く存在します。しかし、猫では通常心筋症を伴うものが多いことから、一通りの心臓超音波検査が実施できていれば除外可能と考えられます。
お聞きした発作の様式からは、てんかん発作を第一に考えます。また、この子はすでに脳のMRIも撮影されており、下垂体以外の異常を認めていないことから症候性てんかんと考えられます。
今後何らかの脳内の異常が明らかになってこないことを確認して行く必要がありますが、ひとまず発作頻度を観察可能な範囲内に抑えることが治療の目的となります。
日本では、ゾニサミドを猫のてんかんの第一選択に持ってくることも多いのですが、お聞きの様子ですとフェノバルビタール(フェノバール)が最もよく合っているように感じます。通常、次のフェノバール投与前に血中濃度を測定するのが重要で、猫の場合の最適血中濃度は15-30μg/mlです。このため、この猫ちゃんの血中濃度は異常に高いため、採血時間が異なっていることを疑います。フェノバールの猫での半減期を考えると、3回投与にするメリットはなさそうです。
また、フェノバールとゾニサミドを併用することはあまり一般的ではありません。レベチラセタムも併用薬として効果的ですが、猫でも不明確さと費用が高いことから、常用するにはハードルが高いです。ジアゼパムは猫では急性肝障害が言われていますが、それほど遭遇する可能性は高いものでもなく、猫ではこの薬剤単独でも発作をコントロール可能の場合も多く経験されます。薬用量は0.5-1.0mg/kg程度で、1日2回の投与で十分です。血中濃度の測定は不要です。
下垂体は確かに大きいですね。猫では成長ホルモンの過剰が時々みられますが、糖尿や先端巨大症でなければ偶発所見と思われます。

日時2020-06-27 18:41:19

シャラチノ(質問主)


先生、お忙しい中早速のお返事ありがとうございました。
長い内容でしたのに、目を通して頂き、本当にありがとうございます。
なぜか、質問内容が表記されず、確認が遅れてしまい、ご挨拶が遅れてしまいました。申し訳ありません。

詳しい内容、何度も読ませて頂きました。
本当にありがとうございます。

心臓検査は、聴診とレントゲン検査だけです。一応心臓超音波検査もしてもらえるよう相談してみたいと思います。

薬剤の説明もありがとうございます。
頂いた助言も含め、もう一度色々主治医と相談してみたいと思います。

FHSと言われたのは、日本語に訳すと「知覚過敏症」なるものらしいです。
ぴょんぴょん飛び跳ねてる(?)し、てんかんは意識をなくし、ガタガタするのが一般的なので。何に過敏に反応しているかなどの問診や検査、その他色々の消去があったわけではないので、医療知識がない一般人が申し訳ないのですが、私もあまり診断を鵜呑みにはしないようにしていたのですが、なにせ他に相談できる病院が見当たりませんでした。

すでに、フェノバビタール、レビチラセタムに加え、ジアパゼムの投与が始まっています。
投与回数、投薬量含め、とにかく減らして行けるようにしていきたいと思います。
一回に減薬できる量が、普通の教科書通りには行かず、もどかしいのですが、先生にご助言頂いた内容も踏まえ、次の通院時に相談してみたいと思います。
先生、本当にありがとうございました。


日時2020-07-03 14:22:02

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