イヌ・ネコの健康医療相談

犬が甲状腺機能低下も見られるクッシング症候群と診断されました

飼い主からの相談に専門の獣医師が回答します

みり(質問主)


犬アイコン 犬 11歳 メス 雑種

体重:11.6kg

飼育歴:5年7ヶ月

居住地:千葉県柏市

飼育環境:室内

雑種の雌11歳です。ALP、ALT、コレステロール、中性脂肪高めです。ホルモンの検査を経て(プレ10.5、ポスト51)甲状腺機能低下も見られるクッシング症候群と診断され、アドレスタン60を飲み始めて1週間です。ほかにウルソとタチオンは1か月半くらい前から、甲状腺の薬もアドレスタンと同様1週間前から飲んでいます。アドレスタン飲みはじめて食欲元気がなくなり本日通院。ナトリウムカリウム比が26で、元気食欲もないのでアドレスタンを減らすこととなりました。
しかしナトリウムカリウム比は、昨年末の血液検査でもほぼ同様の数字でしたので、アドレスタン服用のせいとは言い切れない・・・。いったいうちの子の病はなんなのでしょう・・??と不安です。
上記の情報から、何かわかるものでしょうか?
主治医の先生もよく診てはくださるのですが。よろしくお願いいたします。

日時2017-03-10 15:43:17

専門の獣医師からの回答

副腎皮質機能亢進症を一般的にクッシング症候群と言います。クッシング症候群とはコルチゾール過剰に伴う様々な臨床症状全般を指し、原因には副腎皮質が機能亢進した場合と薬による(ステロイド)医原性の場合があります。
しかし、病気の本質は全く異なり前者は、副腎の機能が亢進し肥大するのに対し後者はステロイドの長期間投与により副腎が萎縮し機能が低下します。自然発生例のクッシング症候群は副腎に命令を出す機関である脳下垂体が原因となる場合と、副腎が原因となる場合に分けられます。また犬のクッシング症候群は雌に多く平均発症年齢は12歳とされています。

ご質問されている愛犬のデータを拝見しますとクッシング症候群を疑うことができますが検査結果に単位が示されていないため推測でお答えいたします。
これはACTH刺激試験結果でPre10.5μg/dl、Post51μg/dlだと推測します。犬の正常値はPre0.5~4.0μg/dl、Post6.0~18.0μg/dlでありPostが24μg/dl以上であれば自然発生クッシング症候群を強く疑うことができます。
またNa/K比を示されていますが、一般的にクッシング症候群であれば高Na、低K血症を示し、逆に副腎皮質機能低下症(アジソン病)では低Na、高K血症を呈しますが、Na/K比はあくまでも参考値でありこれを主体として考えないほうが良いと思います。
ここで注意しなければならないことがあります。クッシング症候群は甲状腺機能低下症に見えることがよくあります。これは偽甲状腺機能低下症と呼ばれ、T4 (甲状腺ホルモン)も低値を示すことがあり注意が必要です。一般的には甲状腺機能低下症の治療はクッシング症候群の治療と並行して実施せず、クッシング症候群の治療を優先します。
本症例は自然発生クッシング症候群が強く疑われますので次に原因が下垂体なのか副腎なのか鑑別する必要があります。それらの鑑別検査を受け、クッシング症候群の本体を確定させることが不安を解消できる方法かと思います。自然発生クッシング症候群の80~85%は下垂体性で下垂体の病変は良性の腺腫が多く、副腎は15~20%に腫瘍があり腺腫と腺がんが50%とされています。
治療法は、下垂体性のクッシング症候群の場合には現在飲まれているアドレスタン、op-DDDなどの薬剤、副腎腫瘍であれば薬剤によるコルチゾールの分泌抑制と手術による腫瘍摘出が主に実施されています。現在飲まれている薬剤のアドレスタンは食欲低下などが見られますので主治医の指示をよく守り慎重に投与してください。またクッシング症候群の確定検査を主治医の先生とよくご相談されてください。

日時2017-03-16 17:22:13

みり(質問主)


こんばんは

ご丁寧にご返答いただき、本当にありがとうございました。このもやもやとした不安を解消するために、クッシング症候群の本体を確定すること、これが肝心ですね。偽甲状腺機能低下症ということも初めてお聞きしました。
ナトリウムカリウム比についても、ただこれだけで
決めつけるのではなく、参考の値とするということもお聞きでき良かったです。

確定検査について、医師と相談いたします。
保護犬出身で、いろいろと苦労をしたワンコです、できるかぎりのことはしてやりたい、元気で過ごせる時間を長くしてやりたいと思います。

ありがとうございました。

日時2017-03-16 22:07:13

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