イヌ・ネコの健康医療相談

猫が腸炎と膵炎になりました。膵炎に合う食事と治療方針について教えてください

飼い主からの相談に専門の獣医師が回答します

ちっちぇ(質問主)


猫アイコン 猫 11歳 メス ペルシャ

体重:1.6kg

飼育歴:10年2ヶ月

居住地:北海道函館市

飼育環境:室内

はじめまして。
昨年の年末に嘔吐をし、病院で毛玉であろうとの診断をされ数回通院後いったん落ち着きました。
先週からまた嘔吐と下痢が続き通院したところ、最初は腸炎との診断でしたが、数日後リパーゼ検査により膵炎も発症していると診断をされました。血液検査は異常はありません。レントゲン・エコーでは腸炎・腹膜炎の傾向が見られると説明を受けました。腸の動きもかなり落ちてしまっているそうです。体重ももともとは2kgはあったと思いますが1.6kgまでおちました。食事も少ししか取れず、嘔吐はおさまりましたが下痢がおさまりません。

①膵炎の猫に適した食事はどういったものかを教えて頂きたいです。
通っている病院には医師が数名いらっしゃり、勧められたフードがそれぞれ違います。1人はヒルズのw/dやロイヤルカナンの満腹感サポート(脂質を抑えたいとのこと)、1人はロイヤルカナンの消化器サポート(体重が軽すぎるので、w/dや満腹サポートは適さないとのこと)。ネットで調べるとヒルズのi/dが適していて、消化器サポートは膵炎の猫にはあげてはいけないとの情報も見られました。何をあげればいいのか、わからなくなってしまいました。

②「開腹手術をすれば、もしかしたら他の原因がわかるかもしれない。ただ膵炎を起こしている子の手術はかなりの危険を伴い、また、腸に細かな腫瘍が出来ているのを発見したとしても取り切れるかも分からない」と言われました。
開腹手術をするのか、それともこのまま毎日通院して栄養などを注射し続けて様子を見るのがいいのか、判断を迫られていますが、決めきれずにいます・・・危険を冒してまでも、また、原因が分かったとしても治療しきれない可能性があっても、開腹をして原因を調べたほうがいいものなのでしょうか?

ほかの先生方のご意見を伺えれば、と思い、ご相談させて頂きました。
お忙しいところ申し訳ございません。ご助言頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

日時2017-01-25 23:50:50

専門の獣医師からの回答

 まず,嘔吐や下痢の原因は非常に多岐に亘ります。胃腸炎,腸閉塞,消化管腫瘍などの消化管疾患はもとより,肝炎,膵炎,腎炎,腎不全,肝不全,腹膜炎,未避妊であれば子宮疾患(子宮内膜炎や子宮蓄膿症),さらにはストレスなど例をあげればきりがありません。肝炎や腎炎あるいは肝不全や腎不全さらには感染症などでは血液検査で何らかの異常が認められることが多いのですが,慢性の胃腸炎や初期の不完全腸閉塞や消化管腫瘍あるいは腹腔内腫瘍では血液検査での異常は認められないこともしばしばです。
 現時点で腸炎や膵炎が確認されているようですが,その他の異常も隠れている可能性は否定できません。そもそもペルシャネコで体重が普段2kgというのは発育不全があるか,あるいは栄養状態が著しく悪いかどちらかです。さらに現在,体重が1.6kgに減少しているとなると,さらに2割の体重減少であり,極めて深刻な事態と考えられます。慢性の下痢が続いているとのことなので,原因究明や病態に応じた治療が必要であることはいうまでもありません。

 質問①の食事に関しては,消化器症状を呈する猫では最も重要なポイントとなります。通常下痢が認められる際に処方される食事は,大腸性下痢か小腸性下痢か,さらにその原因によって使い分けを行います。具体的には,低脂肪食,高線維食,低アレルギー食などが用いられます。今回の質問者の愛猫では栄養状態が極めて悪い可能性がありますので,低カロリーでない食事の方がよいのではとする獣医師の見解は正解かと思います。なお,ロイヤルカナンの消化器サポートには,通常のものと消化器サポート(可溶性線維)の2種類があり,前者はヒルズの製品ではi/dに,後者はw/dに相当します。いずれにしても今回,膵炎の存在が指摘されており,カロリーも落としたくないのであれば,消化器サポートあるいはi/dが第1選択が無難な選択かと思います。

 質問②の探査的開腹術(試験開腹)については,主治医の先生が腫瘍性疾患を強く疑ってのご提案ではないかと思いますが,正直時期尚早かと思われます。現在では,探査的開腹術を行うまえに超音波検査やCT検査,さらには内視鏡検査など病態を詳しく調べる方法はいろいろあります。ただ,CT検査や内視鏡検査を行うに当たっては,全身麻酔が必要となりますので,あまり状態が悪くなってしまうと検査もできなくなってしまいます。。

 最後に猫の難治性下痢に関しては,私どものようなスペシャリストでも診断や治療は必ずしも容易でないことがあります。さらに,正確に診断がついても消化器型リンパ腫のように予後の悪い疾患もあります。現在の診断・治療に対して,飼い主様が充分に納得がいかないのであれば,セカンドオピニオンをお願いされるがよいかと思います。その際にはスペシャリストに診察をお願いしないと意味がありません。北海道であれば,北海道大学の内科にご紹介をしてもらうのがお奨めかと思います。

 胃腸炎などでは食餌を与えることでそれが刺激になって嘔吐することがしばしばあり,嘔吐が続くときには絶食でお腹を休めてあげる治療法もあります。急性の嘔吐が認められ,食欲や元気に異常が認めれなければ,半日ほど絶食し,消化のよい食餌を少量から再開するのは胃腸炎などの治療でよく行われる処置です。なお,高齢のネコに対して,長期間の絶食や絶水は,脱水症状を悪化させることになり,腎不全を引きおこす危険があります。さらにネコでは数日間食事をとらないだけでも,命に関わる肝リピドーシス(脂肪肝)を引きおこすこともあります。特に肥満ネコでは要注意です。

 頂いた情報のみで今回の嘔吐の原因を救命することは難しいですが,少し前にワクチン接種を受け,さらにその際に複数のお薬を飲まされていたようなので,その当たりことも多少は関係があるかもしれません。消炎剤と抗アレルギー剤とありますが,ステロイド剤の投与であれば胃腸障害はしばしば認められる副作用です。
 いずれにしても猫の嘔吐はよくある症状で,一過性の場合には原因が不明であってもそれほど問題にはなりませんが,今後も同様の症状が続くようであったり,心配な気持ちが抑えられないようであれば,それなりの施設で一度精密検査を受けられたらよいかと思います。猫の種類にもよりますが,メスで4.5kgというのは普通の猫では肥満である可能性が高く,簡単な検査では診断が付きにくい膵炎などの発症リスクが高くなるかと思います。また,10歳以上の猫では甲状腺機能亢進症もチェックが必要かもしれません。
 精密検査といっても内視鏡検査やCT検査まで行うとなると高額な費用がかかるだけでなく,全身麻酔の必要性からネコちゃんにも大きな負担がかかります。現在症状が治まっており,主治医の先生が様子見で大丈夫と判断されているのであれば,あまり心配がないのかもしれません。まずは,主治医の先生に飼い主様が不安に思われていることや自宅でできる対処法なども含めた治療法について相談されてみてはいかがでしょうか?

日時2017-01-26 16:43:01

ちっちぇ(質問主)


ご丁寧な回答、ありがとうございました。

もともとの体重の軽さを気にして、もっと早くから通院をしなければならなかったなと反省しきりです。食が細いだけで、「発育不全・栄養状態が悪い」のかもしれないという考えには至っておりませんでした。かわいそうなことをしてしまいました。

満腹サポートを勧めて下さったのと開腹のお話をされたのは同じ先生で院長だったのですが、昨日診て下さったのは消化器サポートを勧めて下さった先生でしたので、開腹検査等について改めてご相談させて頂きました。その先生の見解は、やはりこちらで回答頂いた内容と同じ「時期尚早」でした。ただの膵炎かもしれないという可能性もあるので、まずは体力や体重をつけたほうがいい、と。今のままでは、万が一開腹や全身麻酔に耐えられたとして、腫瘍が見つかったとしても、今度は抗がん剤に耐えられるとは思えないとおっしゃっていました。

ご飯に関しても、「やはり今はなんとしてもカロリーを摂取したほうがいいから、食べるようであればアレルギー食や消化器サポートを、食べないのであれば、今は何でもいいから食べさせてあげていいのでは?体重や食欲が落ち着いたら、満腹サポートやw/dをあげていきましょう」とおっしゃっていただきました。

同じ病院でも、医師によって方針が違うということを知ってどうすればいいか不安を感じましたが、こちらでご相談して回答を頂いたおかげで、どちらの先生の方針で治療していただくか、自分の中で決めることが出来ました。ありがとうございました。

もうしばらく、本人にはつらい日々が続いてしまうと思いますが、具合がよくなると信じて、通院を続けていこうと思います。

またご相談させて頂くことがあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願い致します。

お忙しい中時間をさいていただき、本当にありがとうございました。とても救われました。

日時2017-01-27 10:38:10

猫の皮膚病は飼い主が気づくことが多い病気です。よくある事例や飼い主が気づけるポイントを、猫専門病院「東京猫医療センター」の服部幸院長が動画で解説します。

 

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