ビビリな犬とハートの強いウサギ 21キロ差の仲良しコンビが家族に幸せをもたらす
さて2023年、めでたく「ウサギ年」を迎えました。ぴょんぴょんと跳ねる姿がいとおしいウサギは、犬や猫と同じくペットとして慈しむことができます。
そこで1月1日にお届けするのは、犬の次郎ちゃんとウサギの小次郎ちゃんを兄弟として育てている高橋さん宅の物語。前回、保護犬の次郎ちゃんを迎え入れたお話を伺ったのは、2020年のこと。小次郎ちゃんもチラリと登場しています。あれから2年が経ち、次郎&小次郎コンビはどんな成長を遂げているのでしょうか……?
ウサギは犬と違って表情が乏しい!?
高橋さんご一家が、生後3カ月の次郎ちゃんと一緒に暮らし始めたのは、2018年4月のこと。先住犬のモコを亡くし、悲しみに暮れていた家族に、再び笑顔を届ける存在が現れたのです。その奇跡的な出会いのストーリーは、前回述べたとおり。そこにウサギの小次郎ちゃんが加わったのは、翌年2019年のことでした。
「小次郎が我が家に来たのは、7月ごろ。その時点で約1歳だったので、次郎と小次郎が生まれたのはほぼ同じ。次郎がほんの少しだけお兄さんで、その弟として小次郎を迎えたことになります」
では、なぜ弟分としてウサギを選んだのか。それは娘さんの熱烈なラブコールだったそう。
「小次郎は本来、ペットショップのオーナーが自分で育てようとしていたもの。娘がオーナーさんとずっとやりとりをしていて、譲ってもらえることになったのです」
念願のウサギが来ることになり、喜んだのもつかの間、家族全員が戸惑ったのは、「ウサギの習性がわからない」ということでした。
「最初はずっと、とにかく小次郎を観察する日々。もちろん小次郎も私たちのことを警戒していたので、まずはケージに入ってもらい、様子を見ていました。ケージから出し、部屋の中を散歩させたのは、3カ月ほど経ってから。10カ月にしてようやく庭に出し、外へ散歩に連れ出したのは、1年が経ってからだったと思います」
犬とウサギの最大の違い、それはウサギには表情がないということ。喜んでいる、おびえている、嫌がっている……犬は表情豊かに感情を伝えてくれるけれど、ウサギにはそれがない。小次郎ちゃんが何をどう感じているのかを、とにかく観察していたそう。
「しばらくすると、楽しんでいること、怖がっていることなどを、耳で表現していることに気づき始めました。さらに興味深いのが、ウサギは怒るとすごい音を立てて高くジャンプするということ。また警戒しているときは、体をぺちゃんこにして低い体勢を取り、目だけキョロキョロさせることも。前後の出来事と、小次郎の動きと。それらを照らし合わせながら、少しずつ習性と性格を理解していったように思います」
散歩ではウサギを守るボディーガード犬に変身!
さて、何より気になるのが、次郎ちゃんと小次郎ちゃんの初対面、そして触れ合いについて。
「写真を見てもらえばわかるとおり、とにかく体格差があるので、最初は次郎を押さえながらの面会でした(笑)。まずはお互いにクンクンと匂いを嗅ぎ合っていたのが、小次郎の動きがあまりに早いので、次郎は小次郎に対して、愛すべきおもちゃを扱うような動きに。次郎が小次郎を追いかけ、でも小次郎の動きが素早くて捕まえられず、それでも次郎は追いかける。その繰り返しで、ふたりは仲を深めている様子でした」
そのうち次郎ちゃんは小次郎ちゃんを愛情深くペロペロとなめるようになり、小次郎ちゃんはそれを安心して受け入れるように。その様子は、なんともむつまじいものだそう。
「さらに面白いのは、ふたりを連れて外に出るときです。家の中では小次郎を追いかけ回す次郎が、外に出ると小次郎のボディーガードに大変身。犬は群れで行動するので、小次郎が群れの一部という認識が芽生えているのですよね。ほかの人や犬が近づくとワンワンとほえて小次郎を必死に守ろうとする。その姿に感動しました」
その一方で、これまた楽しいのが「我、関せず」という小次郎ちゃんの行動。
「最初はそれこそ、体をぺちゃんこにして周囲の様子を伺うものの、安全そうだとわかると自由気ままに跳ね回るのです。すると次郎がそのあとをついて行く。家の中と外とでは、ふたりの様子がガラリと変わる。そのことがほほ笑ましくて、いや、もうおかしくてたまらなくて。最高のふたりが巡り合ったなと感じています」
ウサギのフンはドッグフードにそっくりで…
ウサギと犬との同居で、ときに「これは困った!」と苦笑いすることも。なんとそれは「ウサギのフン」に関することのようで……。
「ウサギのフン、見たことありますか? 大きさは7ミリぐらい、丸くて平べったい形状をしているのですが…犬を飼っている人ならもうおわかりかもしれませんね。そう、ドッグフードと形状がまるで一緒なんです」
ウサギは草食動物で、ニンジン、キャベツ、ホウレン草まで、モグモグ、パリパリと結構な量を食べるのだそう。ちなみに次郎ちゃんは元野犬のため、道端の雑草から、田んぼの稲まで、むしゃむしゃと食べてしまうことも。
「草がたっぷりと含まれていて、ドッグフードと同じ形状となれば……。ええ、次郎は小次郎のうんちを食べてしまったんです(泣)」
ふたり一緒に同じ部屋で遊ばせることもあり、そのときはとにかく、小次郎ちゃんのフンが落ちていないか、まずは隅々までチェック!
「こればっかりは、飼ってみないとわからないこと。とんだアクシデントでしたね」
仲間を迎えて芽生えた「兄」としての自覚
小次郎ちゃんを迎え入れたことで、次郎ちゃんは明らかに「末っ子」から「お兄さん」に成長した。その変化が何よりうれしいと語る高橋さん。
「次郎が我が家に来たときは生後3カ月。まだ赤ちゃんで、犬としての育ち盛りの様子を見守ってきました。ただ小次郎が来たときは、もう立派な成犬に。もともとビビりで末っ子気質で、ただただみんなに甘えていた次郎。それが小次郎が家族に加わったことで、兄としての自覚が芽生えているのが手に取るようにわかる。体の成長はもちろん、精神が成長している。それが親として、すごく誇らしいのです」
そして小次郎ちゃんは、次郎ちゃんとは真反対のキャラクター。そのコントラストが幸せをもたらしてくれている、とも。
「ビビりな次郎に対して、小次郎は驚くぐらいハートが強い。最近では、ペロペロとなめて遊びに誘う次郎を、あっさり無視しているぐらいです(笑)。体重22キロもあるのに小心者の兄・次郎と、手のひらサイズで900グラムしかないのに、ドーンと構えている弟・小次郎。その違いがもう本当に滑稽で、私たち家族に笑いをもたらしてくれるのです」
さて、2023年はウサギ年。年賀状はいかに?
「今年は小次郎の年ですからね。ウサギに敬意を表して、次郎にウサギの耳の被り物をしてもらおうかなと思っています(笑)」
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